ウェアラブルデバイスで最適な生活リズムを提案!「Welloop」が目指す “未来の健康” とは
こうした反響は取り組み前に予想できた?
水谷「Welloopは研究者としての “本当に生体データが集められるのか” という疑問からスタートしました。ウェアラブルデバイスが出てきたことで、初めて健常者の一般的な生活の様子が分かるようになりましたが、日常的な生活のデータをコンスタントに計測するためには、デバイスをつけ続けてもらわないといけません。途中で飽きてしまったり装着感がよくないと外してしまうわけで、どうしたらずっとつけ続けてもらえるかが重要でした。その仕組みとして構築したプラットフォームが、結果的に有効だということが分かってよかったです」
「Welloop」を社会実装することによって目指すものは?
水谷「私たちが目指していることのひとつは、まるで天気予報のように自分の体が予測できるようになることです。生体データを集積することによって、皆さんの体の老化の具合や病気の予測などをシミュレーションするAIが開発できるのではないかと考えています。AIの開発には膨大な量のデータが必要なのですが、多くの生体データを集めることで老化の速度が分かってきて、次はどういうふうになるのかが予測できる可能性が出てくると思います。
さらに短いスパンでいうと、1日の中の変動が分かるようになるかもしれません。“この時間帯が絶好調になる” という予測ができるようになると、それに合わせてスケジュールを組むことや休むタイミングを決めること、コーヒーを飲むタイミングはこのあたりといったことが可能になります。デジタルツイン(現実世界から収集したデータをもとに、サイバー空間上に現実世界と同じ環境を再現する技術)という言葉があるのですが、自分自身の体内のデジタルツインが作れると、医療や創薬などにも大きく貢献できる技術になると思います」
今後「Welloop」の導入はどのように進んでいくのでしょうか。
水谷「今回は神戸市と連携していますが、もちろんこの取り組みに興味を持っている他の自治体にも拡張していきたいと思います。さらに、企業も健康経営として従業員の健康を考えなければいけない状況です。そうした施策にしっかり取り組みたい企業に対し、従業員のパフォーマンスなどを踏まえた指標を提案できるようになればいいなと考えています。
健康は自分の資産です。今は新NISAなどで資産形成を行っている人も多いと思いますが、健康にも早い段階で投資しておかないと後で大変なことになる可能性があります。お金の価値は分かりやすいですけど、それ以上に価値があるのが健康です。それだけ健康が重要なんだということを見えるような仕組みにしていきたいですし、皆さんにもその価値に気づいてもらいたい。人生の二大資産として、ぜひ健康とお金の両方に投資していただきたいです」