長澤まさみ七変化!三谷幸喜監督の最新作『スオミの話をしよう』は、アップデートしまくりだった!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

「10月なのにまだこんなに暑いなんて…」なんて言ってたら急に寒くなりました。このまま一気に秋を省略して冬に突入してしまいそうですね。確か去年はそうだった気が…。

 取りあえず、皆さん、体調に気を付けて。

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 そもそも、筆者は三谷作品のファンです。ファンであるからこそ納得のいかない作品もいくつかありますが、そりゃ、こんだけの数を作っていらっしゃるのだから、好みが分かれるのは当たり前なのですが、今回は「古畑で観たミステリー」「王様のレストランで観た王道コメディ」。そして、なによりも筆者イチオシの「ラヂオの時間」を彷彿させる群像劇。

 全部のいいとこ取りみたいな印象でとても期待していたのに、ぶっちゃけ、前評判がよくなさそうだったので観るのが不安でした。

 か〜ら〜の〜、70年代の映画を愛する三谷監督が、それを令和にアップデートしたと言える大活劇!
 多分、ライトな三谷ファンたちが「古畑とか王様みたいなの観たかったのに」という文句を言っているのだと思います。ディープ層にはこれこそが三谷作品なんですよ!『笑の大学』観てから文句言え!!!
『やっぱり猫が好き』も観ろ!『マジックアワー』も観ろ!『12人の優しい日本人』も!この映画の楽しみ方がわかるから!

 細かく出てくる現代語も、しかりなんですが、ここまで羅列した作品たちから、本作は1歩、いや2千歩ぐらい進化していて、その肝を担っていたのが長澤まさみさん。

 相手の男によって、まるで人格が変わったような態度をとる謎の女性を演じています。
まさに七変化なんですが、正直「コンフィデンスマンでも、ようやっとったな〜」ぐらいの“お上手な演じ分け”という印象だったのですが、クライマックス…!
“本当の七変化”が、やってきます。
 三谷監督は、このシーンがやりたくて、この物語を書いたんじゃないかと思うほど「長澤無双」で「痛快」でした。

 あとはもう「名優たちのダンスがめっちゃ面白いから、それに2千円払うつもりで劇場に行け」としか、言いようがない感じかな?
 ラストまで、目を“離しちゃいけない”傑作だったので、是非、皆様御覧ください!

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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