THE RAMPAGE 岩谷翔吾が作家デビュー!「もう生んだので、ここから先は放任主義で(笑)」親友・横浜流星と組んで初めての小説

『選択』は2時間の映画

 ーー最初に書いたセリフから『選択』で描いた物語に広がっていくアイデアというか思考の種みたいなものはあったんでしょうか?

 岩谷:ある海外の動画があって。ひとりの男性がある瞬間に崩れ落ちるんですけど、それを見た時に、人間の感情って喜怒哀楽のうちの1つだけが突出してるわけじゃないなって。怒りだけが突っ走るわけでもないし、怒りの中に悲しみがあったりとか相反する感情でもそれが混在することってある。考えていたセリフでラストを表現できるんじゃないかなって思ったんですよね。

 ーー横浜さんとの「どういう役を演じてみたいのか?」といった会話が源泉になっているから、文章にする前に見せたい映像が浮かんでる感じがしますね。

 岩谷:僕と流星の中で2時間の映画としてこの作品を捉えてるんです。僕も流星も尊敬してる映画監督の藤井道人さんの作品のスピード感というか情景描写をすごく参考にしています。

 ーー読んでいて確かにスピードに乗せられてる感覚があって。岩谷さんがいう“粗削り”な部分も亮と匡平のストーリーを加速させていると思います。

 岩谷:この作品で作家デビューしたいっていう気持ちが強かったので、最初は格好つけた文体とか比喩表現とか……自分が思う小説家っぽいみたいな感じでやってたんですよね。けど、それが形だけになっていると思って、いつのタイミングからかやめて(笑)。自分の素の感じというか、変に脚色せず、感情のまま書いています。冒頭のところもそうでバーッと感情的に書いて、1時間もかかってない……30 分ぐらいで書いてるんです。その場のテンションで書いたものはそのままの鮮度でいきたいという気持ちもあって、あまり修正もしてないんで。

ーー執筆するうえで工夫したことやチャレンジはありますか? 例えば、そのスピード感を出すために大切にしたことであるとか。

岩谷:映像として捉えてるので、シーンを進めるのにセリフが多いですし、セリフだけで転換する場面もあって、そこで悩んでた時期もありました。もっと小説っぽく地の文を増やした方がいいのかなとか、セリフを地の分にして進行した方がいいんじゃないかとか、小説じゃなくて脚本っぽくなってないか心配になって。それで染井為人さんに、『正体』とかを書かれた方なんですけど、相談したら、全然関係ないから書きたいやつを書けばいい、正解はないんだから自分のやりたい作品を作ればいいって。確かにそうだなって。僕も流星もまだ20代ですし、僕はキャリアのある作家でもないし新人です。まず自分たちの 20 代の感性のまま、粗削りでもいいから世に出そうって思えたんですよね。

 ーーそうして完成させた最初の小説、メンバーからの反応はありますか?

 岩谷:つい先日見本が出来たばかりなので読んでもらった人は限られてるんですけど、やましょうさん(山本彰吾)さんからはめちゃくちゃ長文の感想をいただいて、顔を合わせたときは「もうすごかった」って握手してくれました。あとは、佐藤大樹さん(EXILE / FANTASTICS)にも読んでもらっていて、人物の相関図を書いてくれて……プリントアウトしてマーカーも引いてあって、書いた側としてはすごくうれしかったです。ちゃんと読み手がいるっていうのを初めて実感できました。