養鶏✕人生 ブラックコメディ『クオリア』は、到底コメディなんて言えるシロモノじゃなかった【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
現在、12月にやる三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.17
「いつの日か、また会おう!」の準備をいろいろとしているのですが、よく見ると12月3日の初日まで1カ月半くらいしかないじゃないですか!
1年は早いと思わされる今日この頃。実はもう来年の公演の準備も始めております。そちらもお楽しみに。
では、今回も始めましょう。
まず、このタイトルになっている「クオリア」、聞いたことはあって「脳科学に関するなんかだったよな」と思い、調べ直してみたのですが、感覚とかひらめきに近い概念で、人間が外部からの刺激を受けたときに「感情に変化が生まれる」現象の総称で、まだ「なぜそういう事が起こるのかは誰も解き明かせていない」みたいな感じでした(かなり端折ってるけど、本題書く文字数無くなっちゃうので、興味ある人は是非、調べてみて下さい。
養鶏場を舞台に、様々な人間模様が描かれる作品なのですが、とりあえずキャステングとスタッフィングが素晴らしい。
キャスト全員が「誰だかわかる」。
これって、とても重要なことで「あれ? この人だれだっけ?」って、思うだけで観客の気がそれちゃうストレスが生まれるので、それを排除する完璧な「誰が誰で、どんな人物か」が、ビジュアルからも演技からもしっかり伝わる。これって、言い方が悪いですが「有名な人が出てれば簡単」なんですよ。「わー、キムタクだー」とか、思えばいいだけですから。それが、普段、舞台やインデペンデントの映画などで活躍している俳優を集めてこのメリハリは本当に凄い。
さらに、聞き慣れない言葉かもしれませんが“スタッフィング”。
「スタッフを集める」ことなのですが、映像から、そこのこだわりも存分に伝わってくる。とにかく画と音が綺麗。
初監督の作品なのですが、もともと俳優や映画プロデューサーをされていた方なので、その人脈と感性が、この“キャスティング”と“スタッフィング”を、実現させたのでしょう。
で、作品の印象。
「なんでもない台詞がとても美しい」
いわゆる、説明台詞は養鶏のことばかりで、人間たちは、なんとなくご飯食べながら、日常的な会話をしているだけなので「そうだよね」とか「大丈夫です」とかみたいなものばかりなのですが、それが全部、養鶏場を人間社会に見立てた設定を回収していて、ズバンとハマる。
公式では「ブラックコメディ」と、謳われていますが、もはや「やっぱ人間て、そうだよね」と突きつけられるリアルなホラーだと、筆者は感じてしまいました。
「クオリア」、理由のわからない感情を刺激される傑作なので、是非、御覧ください。