セックスレスは相手のせい?お互いを責めてしまうカップルの行く末〈「さよならプロポーズ」第5話〉
浮気で離婚しているからこそ「結婚して安心したい」
前回、自分の抱えているトラウマについて、やっとカホにさらけ出すことができたシュウヘイ。カホはいつも通り明るく振る舞おうとするが、シュウヘイの表情は明るいとは言えない。
幼少期、学校に行けない時期があったり、父親像が不在になってしまっていること、そのものがシュウヘイの中で大きなコンプレックスになっているように見える。シュウヘイからすると、カホが普通に家族と仲良くしてきた過去や「当たり前の違い」が羨ましくて、そんなふうに考えてしまう自分にも、悲観的になっているのかもしてない。
一方、カホが「なぜ結婚したいか」がふわっとしているのは、カホが今まで家族に安心感を感じてきたからなのだろう。カホ自身は家族間で大きな問題を抱えたことがないのであれば、自らの家族のような「当たり前の幸せ」を描こうと思うことは自然なのだろう。約束された将来のない「カップル」であることが、カホにとっては不安なのかもしれない。
そう考察した矢先、カホが「バツイチ」であることが明かされる。シュウヘイの反応を見るに、同棲前に2人の中ではすでに共有されていたことだったようだ。。しかし、一度離婚を経験しているのであれば、結婚が「永遠を約束するもの」とは限らないことは、カホ自身が実感していることのはずだが……それでもカホが結婚にこだわるのは、不本意な離婚経験を克服したいから、というのもあるのだろうか。
シュウヘイと幸せな結婚ができれば、彼女の中では離婚という黒歴史を水に流すことはできるだろう。しかし、一度失敗しているからこそ結婚への理想が高くなっているかもしれないことを考えると、シュウヘイが感じる重圧にも多少の納得がいく。
ギリシャの美しい街並みの中で「気遣いでプロポーズ」と言い直すシュウヘイに、カホは改めて「婚約解消」を言い渡し、ブレスレットを返却する。シュウヘイはプロポーズ時も、婚約指輪ではなくブレスレットをプレゼントしていたのだ。
「そんな気持ちでプロポーズするなが、カホちゃんの気持ちなのかな」、とシュウヘイ。すべてをネガティブに受け取っているようにも見えるが、カホはそんな彼の自分自身との戦いを見守っていなければいけない。シュウヘイが「悲劇の主人公」になってしまえば、カホにもきっとどうすることもできないだろう。