いとうまい子×合田美瑞帆ロボット開発対談「ロボットが、自分と未来をワクワクさせてくれる」
ロボットは「人の代わり」だけじゃない──利用者目線を意識した試行錯誤の連続
合田「こちらがAIコミュニケーションロボットの『temi』です。画面上のボタンを押せば指定の場所まで人間を誘導してくれるロボットで、ホテルや病院、行政などのさまざまな用途で使用できます」
いとう「研究者同士だからこそあえて聞きづらいことも聞きたいのですが、このロボットには現在どんな課題がありますか?」
合田「はい。たとえば『temi』は多言語対応、来訪者の案内、従業員の業務負担の軽減など、利用できる範囲が非常に幅広いのですが、ゆえに“どのユーザーに特化するべきか?”“どんな機能に一番の強みを置くか”ということは、今でも試行錯誤しています」
いとう「なるほど。私の場合、ロコピョンは正しいフォームでスクワットをする必要があるのですが、スクワットの挙動は二足歩行のロボットにとって非常に難易度が高い動きなので、そこを再現するのに苦労しました」
合田「スクワットって思った以上に難しい動きなんですね」
いとう「そうなんです。あと、利用者目線にこだわり、カメラの有無を入念に検討しました。実は当初ロコピョンを開発する際、人間を認識できるカメラ機能を搭載しようとしたのですが、たとえば朝起きてメイクもしていない姿をどこかの誰かに見られているかも……と思うと、やる気がそがれてしまいますよね。そのため、カメラではなく人感センサーを搭載し、“人体”を検出する方法を採用しました」
合田「いとうさんも、さまざまな試行錯誤を経てきたのですね」
いとう「ええ。でも、それが開発者にとってはやりがいなんですよね。合田さんからも、ロボットのことをとっても可愛がっている印象を受けます。ロボットを活用して課題を解決する仕事は楽しいですか?」
合田「楽しいです。この子(temi)とはかれこれ3年くらいの付き合いで、もはや相棒のような存在です。一見ロボットは無機質な存在に見えるかもしれないけれど、追従機能を使い後ろをトコトコ付いてきてくれるところを見ると可愛いなって。今後も改良できる部分は改良したいし、この子と一緒に成長していきたいです」