都医師会、能登半島北部の地域医療の崩壊を懸念「医療ニーズが満たされるとは思えない」

「近いうちに視察して具体的に何ができるか考えていきたい」と尾﨑治夫会長

「能登の外浦と呼ばれる地域を回っているが、輪島市町野町と珠洲市大谷町あたりの豪雨災害の被害が非常に大きく医療が届いていない。珠洲市内の断水状況を見ると復旧時期が未定というところが非常に多い。9月29日時点の町野町は川ががれきで完全に遮られ、そこから水があふれ出して大きな被害を受けた。もともと先生のご自宅と寺院があったが震災で倒壊し、仮設の診療所を建てたところに今回の豪雨で流されてしまった。先生は毎日重機で泥かきをして、それを土のうに詰めて軽トラックで運び出している。つまり医療活動は十分に行えていないということだ」

 11月3日時点でもがれきはそのままで、豪雨によって崩落した道路もそのままだったといい「現地の課題は被災地医療から超高齢過疎地の医療に移行しつつある。これは東京都にいずれ訪れる2050年の超高齢化社会に向けた課題と共通しており、医師会としてはこれ以上医療離脱や災害関連死を絶対に増やしてはいけないし、たとえ少数といえども医療に窮している地域を見捨ててはいけない。そして、災害によって壊された地域医療の再建に向けた支援をできるところがすることをやっていかなければいけない」と訴えた。

 尾﨑治夫会長は「DMAT(災害派遣医療チーム)やJMATの派遣が終了し、報道などでも能登半島地震の被災地の復興は順調に進んでいると考えられていることが多い。しかし、実際は奥能登と呼ばれる能登北部は今もアクセスが困難で、復興が遅れていたところに奥能登豪雨でさらに打撃を受け、厳しい状況に置かれている。西田理事は何度も現地に入っているが、近いうちに視察して具体的に何ができるか考えていきたい」と見解を述べた。

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