手作りせっけんで肌も、地球も、未来も変わる「石鹸工房コクーン」相田かおりさん

「おとす石けん」から始まったコクーンの代名詞「re:tone」シリーズ

丁寧なせっけん作りを支える原料と製法へのこだわり

 現在、設立20年目となる「石鹸工房コクーン」には、大きく分けると4つのブランドがある。

「一番大事なのはせっけんで極力ご自身が持っている肌本来の力を引き出すこと。ですからコクーンでは、足すのではなく引いていく『リセット美容』を提唱しています。最終的にはオイルや化粧水を使わず、自らうるおう肌に育てていくことをゴールにしていて、野菜作りに例えると土を整えないと肥料を与えても入っていかないので、まず最初に土を整えましょうと伝えています。

 コクーンの代名詞である『re:tone(リトーン)』シリーズは、私のニキビ対策用の『おとす石けん』を作ったことから始まりました。特殊な炭が入っていて皮脂バランスを整えることに特化したせっけんで、その後、お客様の声を取り入れながら出来上がったシリーズになります。その他に、肌に合わせて楽しめるギフトブランド『カメレオン』や機能性を持ったボディーコスメを扱う『アンサー』シリーズ。男性用の『男十撫(おとな)せっけん』は、弊社がもともと男性のお客様が多かったことから誕生しました。足のにおいや汗など、それぞれのお悩みに応じたせっけんを開発しているうちに8種類になり、スキンヘッド用もあります(笑)」

 多種多様なせっけん作りの根幹を支えているのは、原料への徹底的なこだわりと顧客の肌悩みに寄り添うことだと語る相田さん。

「せっけんのベースは水と油なのですが、シンプルな処方で製造している分、原料にはすごくこだわっています。どんな原料を入れるかによって洗い上がりがまったく違うので、肌質にぴったり合うせっけんを使うと本当に肌質が変わる。例えば『re:tone』シリーズは6種類あるのですが、その中からご自身に合うせっけんを見つけ、季節によっても肌質が変わるのでその都度変えていただくことで肌を整えていきましょうとお伝えしています。お客様が一番驚かれるのは使用後で、“こんなに肌が変わるんだ” と感想をいただいたり、『男十撫せっけん』の加齢臭用は購入したご家族から “ありがとう” と言っていただくことも多いです」

 日本でせっけんを製造しているメーカーは、すでに原料が混ざった状態の “せっけん素地” を使っていることがほとんどだが、コクーンではコールドプロセス製法で一からせっけんを作っている。

「肌質に合わせたり、肌を整えたりするせっけんを表現しようとしてたどり着いた製法です。食べ物でいうとスパイスからカレーを作っていくようなイメージで、せっけんそのものに特長を出しやすいため、スキンケアしながら汚れを落とすという働きができます。ベースから作っていくので1個のせっけんが出来上がるのにかかる時間は約1000時間。出来上がったせっけんの表面はチーズのようにしっとりしているのですが、お客様が触った時に心地がいいように一つずつ手磨きして仕上げています。

 市販のせっけんのほとんどは機械練りですが、コクーンはオイルからベースを作っているので時間がかかりますし、今でも7割ほどは手作業なのでなかなか大量生産できません。製造は6人のスタッフで行いますが、お店の販売スタッフとして入社する人も、一度は製造所でせっけん作りに携わるようにしています」

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