独断と偏見!黒田勇樹が選ぶ、今年の10本…じゃ足りなかった映画まとめ!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
メリークリスマス、黒田勇樹です。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 僕は来年の1月21日から始まる舞台、四宮由佳プロデュース「どらきゅらぁズ」の稽古がスタートしています。
チケットも発売になっているので、見るのはちょっと先になりますがクリスマスプレゼントにいかがでしょうか? ご興味のある方はぜひ。
では今週も始めましょう。
今年の映画は特に豊作だったというか、コロナ禍が始まり、エンタメ自体が不謹慎、不必要と言われる時期を経て、やっと息を吹き返してきたかと思えば「コロナが大変でした」みたいな、自虐とも自慰ともとれる作品が溢れかえり、ようやく”その時期”を、乗り越え、まるで反撃の狼煙を上げるようにエンタメ作品で溢れかえった今年の映画界。
最低でもこの連載用に年間50本以上は映画を観ている筆者の独断と偏見に溢れた今年の10本を考えてみようと思います。選考基準は「当連載で扱った作品」。それぞれ、記事になっているので、興味がある作品はアーカイブを遡ってみて下さい。
【怪獣部門】
『ゴジラ-1.0』!!
もう、なんか、そうそうこれが怪獣映画!と言わんばかりの傑作。
こすり尽くされて、色々なとんでも怪獣映画が生まれる中、どストレートにして最新のアプローチにワクワクが止まりませんでした。先日発表された続編も今から楽しみです。
【演技部門】
『メイ・ディセンバー ゆれる真実』
極限まで演出を削り、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアの演技対決を堪能できる傑作! もっと話題になっても良かったと思わせる1本でした。
邦画だと『海の沈黙』ですかね。こちらも名優たちの至高の演技をペロペロできる傑作でした。
【文学部門】
『箱男』『八犬伝』
どちらも、日本文学を題材とした作品。アプローチこそ違うものの「文章」という、読者が自由に脳内で想像する景色の具現化。個人個人の持つイメージを超えてくるような映像表現に感嘆せざるを得ない名作でした。
来年公開の筒井康隆先生原作の『敵』も、めちゃめちゃ期待していただいて間違いないです。
【新人部門】
森崎ウィン監督『せん』
福士蒼汰監督『イツキトミワ』
どちらもWOWOWが主催する「アクターズ・ショート・フィルム」という“俳優が映画を制作する”といった企画で、制作された作品なのですが、なんかもう、新しい才能に打ちひしがれました。『SSFF & ASIA 2024』という映画祭で出会ったのですが、これからもこういった“才能の発掘”に対する、WOWOWさんやSSFFさんの取り組みに注目していきたいです。
【韓国映画部門】
『このろくでもない世界で』『対外秘』
どちらも韓国発のノワール(犯罪を扱った)映画。あまりジャンルとか国とかで映画を括るのは好きじゃないのですが、これは、括らざるを得ない。
昨今の「なにこれ? 映画の撮影?」と、思われるような韓国からのニュース映像をみつつ「こういう社会だから、ああいう映画がうまれたのかな」と思わずにいられませんでした。
どちらも最終的には犯罪ではなく人間がメインで描かれ、その向こうにある社会問題を考えさせられる傑作でした。
【インディペンデント部門】
『ひどくくすんだ赤』『侍タイムスリッパー』
「カメ止め」以降、多くのチームが2匹目のドジョウに群がり、盛り上がりを見せている邦自主映画界。とはいえ、そんなにうまい話もなく皆どんどん撃沈している中、この2作は頭10個ぐらい抜けてました。侍タイムスリッパーは、一応ある程度メジャーな展開に成功していましたが「ひどく〜」は、+R15ということもあり、もう一つ話題になりませんでしたが、両作とも「カメ止め、超えてんじゃね?」と、おもえるクオリティだったので、自主映画というフットワークの軽さを活かしてまだまだ、展開していって欲しい作品です。
【番外編 うまくまとめられなかった部門】
『九十歳。何がめでたい』『赤羽骨子のボディガード』『スオミの話をしよう』『身代わり忠臣蔵』
邦画のエンタメ作品、とでもまとめれば良いのでしょうか?ただただ、どの作品も「日本のスクリーンが、こういう作品で埋め尽くされればいいのに」と、思える傑作たちでした。
洋画だと『ACIDE/アシッド』『フォールガイ』あたりかな。こういう頭空っぽにして観られる映画もどんどん入ってきて欲しい。
「フラッと入って、損しない」そういう娯楽性も映画の重要な側面だと思っています。
さて、沢山の作品を挙げさせていただきましたが、いよいよ筆者の今年の一本、グランプリ相当の作品を紹介させて頂きます。
(ドラムロール)
【俺が大好き部門】
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』!!!
最高でした! 宇宙開発という“脳の楽しさ”、ラブコメという“心の楽しさ、”音楽では“耳”、映像では“目”を楽しませてくれる「俺が映画に求めているのはまさにこれ!」と、いう大傑作でした! 本当は全部観てほしいけど、今回挙げた中で「どれか1本しか勧められない」と、言われたら迷わずこれです! 是非ご覧下さい!
つらつらと書かせていただきましたが、年末年始の過ごし方の参考にして頂ければ幸いです。
それでは、良いお年を。来年も宜しくお願い致します!
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23