謹賀新年【長島昭久のリアリズム】

旧知のキャンベル国務副長官と意見交換して、日米同盟の更なる強化を誓い合いました

 その中で、米国では「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領が復権することとなり、世界中が身構えています。

 私は、まだ大統領選の余韻が残る11月下旬にワシントンを訪問して、バイデン現政権高官とともに、トランプ政権に近い上下両院議員や外交安保チームの人々と意見交換をして参りました。その結果、以下のような対米方針を石破総理と共有しました。

 第一に、トランプ政権に対して「受け身」の姿勢にならず、我が国の国益を見据えた戦略的な政策パッケージを準備して提案し、協力を求める。

 第二に、インド太平洋における平和と安定と繁栄を確立するために過去5年余りで取り組んできた日米同盟を中核とする多国間の安全保障協力は、さらに継続強化するよう働きかける。

 第三に、トランプ政権が引き上げを予告する関税問題や、トランプ大統領が得意とする「二国間ディール」の衝撃(例えば、米朝首脳会談など)にも耐え得るような盤石な官民の体制構築を急ぐ。

 また、国内では、以下の課題解決に待ったなしで取り組みます。

 第一に、経済政策です。いま、岸田政権以来取り組んできた「成長と分配の好循環」政策が実を結びつつあります。円安効果もあり、株価は史上最高値を更新し、大手企業を中心に史上最高益を挙げ、政府の税収も過去最高となりました。したがって、今年の最大の課題は、この「恩恵」を国民・勤労者へ惜しみなく還元することに尽きると思っています。物価高を上回る賃上げと共に「手取り」を増やし、困窮世帯への支援や中小小規模事業者の価格転嫁を促進し賃金アップや投資に振り向けられるよう、税制や財政など全政策を集中させます。

 第二に、産業政策に係るエネルギー問題の解決です。日本経済は、最先端半導体をはじめとする革新的技術が牽引する力強い成長軌道に乗りつつあります。5G通信の次の「6G」時代を拓く光電融合や、曲がる太陽電池ペロブスカイトなど、世界に冠たるオンリーワン技術が次々に生み出され、世界からの投資が集まっています。いずれもAIやデータセンターなどと同様、大量に電力を消費します。電力供給が次世代産業の振興を妨げるボトルネックとならないよう、脱炭素電源でもある原発の再稼働を加速化せねばなりません。再生可能エネルギーについては、環境破壊や経済安保の視点にも配慮しつつ、家計を圧迫している「再エネ賦課金」(※)の削減に着手する必要があると考えます。

※再生可能エネルギー発電の電気を電力会社が固定価格で買い取り、消費者がそのコストを負担する仕組み。一般家庭でも電気料金に月額約1000円上乗せされている。