都医・尾﨑会長、インフルエンザ感染拡大に警鐘「改めて対処することで感染者数減らす」
インフルエンザの感染者数が現行の統計開始以降で最多(1医療機関あたり64.39人、12月23~29日)となるなど、全国で猛威を振るう中、東京都医師会の尾﨑治夫会長が注意喚起を行った。
尾﨑会長は、1月14日の定例記者会見の質疑応答で「詳しいデータをまとめているわけではない」としながらも「卸売業者によると治療薬が入ってこない、特にタミフルのジェネリック医薬品が不足しているという話は聞く」と回答。
「これだけ感染者数が増えてくると、皆さんがお薬ということになりますが、どのくらい有症状期間が短縮されるかというと1~2日間と言われている。やはりお子さんや高齢者で合併症を持つ方など、重症化しやすい方に優先的に飲んでいただいて、ある程度体力があってワクチンを打っている方が重症化するケースは少ないので、適切な解熱剤の使用と安静にしていただければ」と説明した。
さらに、今後の超高齢化社会を見据え「救急や医療介護の問題もそうですが、これからどんどん需要が増えていく時に、何でも救急車を呼ぶというのは難しくなり、我慢できる人は我慢しなくてはいけなくなる」などと言及。
「あらゆる人が解熱剤やせき止めを要求すれば、やはりそれは足りなくなる。特に今の医薬品業界の状況を見ると、すぐに生産能力を高めるということはなかなかできない。今の医療制度やこれからの高齢化でどういうことが起こるのか、やはり皆さんにも考えていただきたい。コロナやインフルエンザを乗り切るために、例えば同じような市販薬が売られていてそちらは在庫があり、医療機関ではなかなかないという現象が起きているので、その場合はご自身で薬局で購入するなどして、本当に必要な方に優先的に行き届くという考え方がすべてにおいて必要」と注文した。
「コロナやインフルエンザは患者が急増する。急増した時に受け入れるキャパシティーがあるかというと、今はない。今後は後期高齢者が急増し、同じようなことが必ず起きてくる。それに対処するためには “医薬品メーカーがだめじゃないか” “医療機関がだめじゃないか” という話ではなく、それぞれがどう需要があって大変な状況なのかを国民、都民の方に判断していただいて。“僕はこういうふうにして、なるべく負担をかけずに乗り切ろう” というような考え方を皆さんに取っていただかないと、特に東京はこれからそういう問題が多く出て、変わってくるのではないかと思う」などと提言。
「インフルエンザの予防接種、コロナの予防接種はしましたか? 予防接種すれば重症化が防げることは分かっているわけですから。インフルエンザやコロナにかかっても重症にならないとしたら、お薬もそんなにいらないのではないでしょうか。そういう考え方をしていただきたい」「今の流行期に改めてマスク、手洗い、うがいの感染対策やワクチン接種など、対処していくことで全体の感染者数を減らす間に、抗インフルエンザ薬の生産が追いついてくる」と警鐘を鳴らした。