2連勝中の中村倫也「今回は“もう判定でもいい、絶対に勝つ!”という気持ちになっている」【UFC 311】

(ⓒ U-NEXT ⓒZuffa LLC / UFC)

 前戦では、試合直後、判定の時からずっとフィニッシュに至らなかったことに対して悔しそうな表情を浮かべていて、謝っている姿が印象的でした。
「ねえ、偉そうに(笑)」
 
 いやいや、そんな。とはいえ見ている側としてはUFCでの連勝をご本人とともに喜びたかったところではあるかと思います。
「そうですよね。やっぱり、そういうふうに思わせてしまったことに対しても、すごい“ああ、反省……”っていうのも感じましたし、今回は、何よりも(UFCは)すごい厳しい場所であることには変わりがないので、勝利を1回しっかり喜ぶのも大事だなというふうには、感じましたね」
 
 当時を振り返ってみればそういう厳しい場であればこそ勝ち方が重要だったのですね。
「周りが“プロスペクトだ”“期待の新人だ”と、すごい盛り上げてくれていて、自分もそこに乗っかりたいって思いもあったし。やっぱり(見ている人が)そうやってフィニッシュして勝っていく選手だからこそすごく好きになるっていうのは、ちっちゃい頃の自分もそうだったので、そういう姿を目指していたが故に、自分自身にがっかりして、その落差にがっかりして。“2連続で判定か”っていう悔しさがあったんですけど。今回は“もう判定でもいい、絶対に勝つ!”という気持ちになっています。そういう自分も大事にするようになれた、という感じですね。前は“ヤバい! このままだとフィニッシュできないぞ”って、自分の中でも戦いが始まっちゃって。それで無理やり行ったところ拳を折ったりもしたんだな、というのも分かったので。あくまでも勝ちにこだわる自分っていうのを肯定し続けて、その中で、常に今その瞬間、瞬間を生きていれば。見えてくるものがフィニッシュだと思っているので、今は」
 
 その当時であってもフィニッシュを追求すること自体は、確実に勝利するためには必須の考えだったと思うのですが、そのために焦ってしまったことというのが、ご自身としては反省する点なのでしょうか。
「当初は反省点でしたね。ただ、やっぱり一番大事なのは勝つことだし、勝つために一番可能性が高い選択をして行くことを選んだ自分のことは、褒めるようにはなりました。ただし、それで頭が先に行ってしまって心と体が分離してしまう、その瞬間に、怪我や事故というものが起こったりすると思うので。そういうことがないように今回はメンタル面も仕上げてきました」
 
 今回約1年ぶりとなりましたが、怪我があったことで復帰にかける時間が長くなったことについてどのように考え、行動していましたか。コンスタントに試合を積みたいという歯痒さはなかったでしょうか。
「やることは無限にあるし! パンチ以外にもですし、逆に(拳を痛めたことで)そっちに気が散らない分、やりたいこと、思いっきりできるじゃん!と思って。手以外の部分を見つめたりできる時間になりました」
 
 怪我はさておき、ご自身のMMAの完成度を上げるために、どのような課題をもって取り組んできましたか?
「スピードと反応に自信がある分、そこに頼ってしまった部分があって。チャンスを逃したりする、そういう部分が自分の中ではすごく多いと思ったので、よりギリギリでかわすとか、よく見て、点と点じゃなくて、いろいろな攻撃があってこの攻撃に繋がってるんだっていう線でつなげる格闘技だとか、自分が理想とする格闘技っていうものを作る時間にはなったかなと思います。こういう格闘技したいなって思ってる動きを追求していました」
 
 では、待望の復帰戦について、対戦相手のムイン・ガフロフ選手の印象は?
「対戦相手はフィジカルが強くて組みの力もあるし、思い切り振ってくるし、フィニッシュ率も高く危ない相手っていうことをちゃんと認識しながら。自分が、一個レベルアップした格闘技っていうのを作ってそういう相手を制すっていうのは、今後登っていく上で絶対に必要だし、そういう意味ではいいテストになる相手だなっていうふうに思ったので、いい感じで作り上げてきたんで、それを披露するのが楽しみです」
 
 ガフロフ選手、フィニッシュ力のある強い選手ながら先ほどおっしゃったように「厳しい」UFCにおいては、2連敗から前戦で勝ち星をつかみました。今回は生き残るために絶対落とせない気持ちでいると思いますが、そういう相手と対峙する倫也選手としては……。
「“相手の気持ちは知らねえ!”っていう姿勢で臨みます。こっちにはこっちの都合があるんで!」
 
 今回、どんな試合を見せたいですか?
「今後、特に今年はしっかり試合数もこなし、3つぐらい取ってランキング入りにしたいと思ってますので、つながるパフォーマンスを出したいなとは思ってますね。この一年、あの深く屈んだ分、しっかり地に足をつけて作ってきた格闘技を披露するのが楽しみです」
 
 セミメインイベントは、ご自身の階級でタイトルマッチが行われますが、アピールしたい等、意識することはありますか。
「いえ。そういう奴らって、あんまり下のことは考えていないですし。まあでも、UFCのスタッフには“あ! 食い込んでくるじゃん”っていうふうに思わせるようなパフォーマンスはしたいかなと、思ってますね」
 
 ズバリ、タイトルマッチの勝敗予想を!
「ウマル・ヌルマゴメドフの……、……うーん……、判定勝ち!」
 
 ありがとうございます! 最後に、日本でU-NEXTを通して応援している皆さんにメッセージをお願いします。
「日曜日はアーリープレリムでまだあの朝早い時間になると思うんですけど、元気をいっぱい与えますので皆さん早起きして、ぜひ当日はU-NEXTでご視聴お願いします」

 なお大会の模様はU-NEXTで日本時間19日7時30分からライブ配信される予定となっている。

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