加藤シゲアキ、能登復興支援小説のきっかけは直木賞選考会 小川哲「めっちゃ落ち込んでいて」
左から『あえのがたり』呼びかけ人の小川哲、加藤、今村翔吾
リモートで登壇した今村は「もともと東日本大震災のボランティアに度々行っていて、ボランティア自体は何かしたいと思っていたが、作家になってからという意味で何もしたことがなかったので、作家ならではということができる初めての機会になるのかなと思った。僕らは世間から見たら若いわけではないが、文壇の中では若い部類に入るので、若い世代の作家がやることに意味があると感じた」といい、
小川は「本人は否定するんですけど、残念会に行った時に加藤さんがめっちゃ落ち込んでいて(笑)。そういう時って落ちたからこそできることをするのが一番前向きになれる。その時に加藤さんから能登半島地震のチャリティーをやりたいという話があって、もちろん趣旨に賛同したうえで小説にできることがないかなと考えたうえで、まず加藤さん自身のチャリティーというか、直木賞に落ちたからこそこの仕事ができたと胸を張れるといいなという気持ちがあった」と明かす。
同書のために短編「そこをみあげる」を執筆した加藤は「チャリティー小説でやるべきこととして、実際に起きた震災というものから未来を描くという形で書いてみようと思った」といい、作品に込めた思いを「僕は実際に被災地に行ったので、この現状をどれほど直接描いていいのか、描くことで傷つく人もいるかもしれないということにすごく葛藤があった。それでも自分自身が言い出したこともあるし、覚悟を持って作品に臨みたいということで、能登の震災からある種の祈りみたいなものを描くという挑戦をさせてもらった」と語りかけた。