THE RAMPAGE 吉野北人「妥協しない自分を全開に出していきたい」 念願のベネチアで、自然体で頑張らずに“ストイックな”写真集

ベネチアで撮影した奇跡の写真

ーー撮影地はイタリア。ずっと行ってみたかったとのことですが、それはどうして?

イタリアに限らずヨーロッパに興味があるんです。イタリアは、いろいろ素敵なところがありますが、中でもベネチアには行きたかった。街の中で夕陽に照らされて……という写真を撮りたいという目標もあったので。

ーー今回の写真集、撮影地もそうですが、カメラマンを自分で選定したり、アイデアも自分で温めていたものだったり、ご自身の「こうしたい」ということがより反映されている印象です。

自分の作品ですし、後になって、こうしておけばよかったってなるのが一番嫌じゃないですか。やりたいこと、考えていることをスタッフさんにぶつけてみて、できなかったらできなかったで、まあしょうがないなってぐらいな気持ちでいるのがいいのかなって思っていました。この写真集に関しては、自分がやりたいことを伝えて、それがちゃんと形になったのでうれしいです。

ーー伝えたいメッセージがあって、撮りたい写真のイメージがあって、北人さんの頭の中では写真集が出来上がっていて、イタリアにはそれを撮りにいった雰囲気ですね。

前の時も自分で決めさせていただいたことは多かったんですけど、初めての経験で自分もどこまでできるか分からない状況もありましたからね。今回は、その経験を生かせたし、スタッフさんにも恵まれて、いい写真集ができました。

『Orange』吉野北人(THE RAMPAGE) 撮影:尾身沙紀/幻冬舎

 

ーーいろいろなロケーションやシチュエーションで撮影をしていますが、そのなかで特にお気に入りのセッティングはどちらになりますか?

……難しい(笑)。さきほど話したベネチアの街の中で夕陽をバックに撮影したものですね。表紙(通常版)にもなっている写真で、いろんな奇跡が重なって撮れた1枚なので。あの日は雨で夕陽を浴びての撮影は無理だなって、撮影を終えて、夜ご飯に行ったんです。レストランに行く途中でいいのが撮れたらいいねって、衣装を着て出かけました。そしたら食べている最中に晴れて、すごい綺麗な夕陽が出てきてくれた。絶好のチャンス!と食事を中断して撮影しました。

ーー引き込まれるような1枚ですよね。ベネチアは他の写真も素敵ですね。無邪気な笑顔のセーラー服の写真とか。

映画『べニスに死す』のオマージュです! これはイタリアでしかできない、イタリアの街並みだからこそ着られる衣装です。……今回の衣装、半分くらいが短パンです、実は。短パンって日本だったら衣装ではなかなか履かない(笑)。

ーーイタリアは、短パンが似合う国? 短パンが履きたくなる国でしたか?

しっくりきました。300着ぐらいから衣装を選ばせていただいて、その時は短パン多すぎない?と思いましたけど……全然いけた、何の違和感もなかったです。これ以外にも、イタリアだからできたって服装は結構あるんですよ。撮影した場所、カルチャーを取り入れて選んでいただいたなかから20着ぐらい選んで、予備に持って行った衣装も結局全部着ています。