報道サスペンス『ショウタイムセブン』が、とっても“やんちゃ”な映画だった件【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 11日から始まった三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.18「LALALA羅生門/ドララ羅生えもん」が絶賛上演中です。

 やっと暖かくなったと思ったのに、また寒くなってきましたね。外を歩き回るのはしんどいなと思う方は配信を。そうでない方はぜひ劇場にお越しください。現場で見られるなら、現場のほうが楽しいかなと思いますので!

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

「爆弾魔とニュースキャスターが番組の中で対話をしながら対決する」という、どエンタメを想像する謳い文句の作品。韓国映画のリメイクということもあり「2時間、ハラハラドキドキさせてくれて、最後はうっすら感動してお涙頂戴」みたいな「2千円ちょうどの映画」を、想定して観に行ったのですが、全然「5千円払ってもいい映画」でした。

 結構この「作品に対する値段の感覚」って、大事で「テレビで、タダで見ればよかった」とか「配信で500円でいいや」とか、視聴の方法が多様化している現代、結構お客さんはシビアだと思うんですよね。

 まず阿部寛さん演じる主役のニュースキャスターが「ヒーロー」じゃなくて「ダークヒーロー」。この時点で「おおっ!」っとなります。

 爆弾魔を止めようとする動機が、正義ではなく「自分のキャスターとしての再起」で、ハナから犯人と取引したうえでニュースショーを始めます。犯人は犯人で正義を語るので、どっちを応援していいのかわからない。更にそれを引っ掻き回す、吉田鋼太郎さん演じる視聴率第一主義のプロデューサー。「もっとやれ!」とか「それ以上はダメだ!」とか、スーパー身勝手に動いてくれて、話を盛り上げてくれます。鬼太郎で言ったらねずみ男のポジションです。

 で、派手な爆破シーンや、ひりつく会話劇でストーリーは進んでいくのですが…。

 この映画、明らかに喧嘩を売っています。「誰に」とか「どこに」とかは観ればわかるので控えますが、完全に真ん中の指を立てて社会に喧嘩を売っています。

 普通、そういう社会的なメッセージをはらんだ作品は「社会派」とか真面目な感じで表現されるのですが、この作品の主張の仕方は「ロック」とか「不良」とか「やんちゃ」という言い方がしっくり来る、学校の屋上から叫んでるみたいな衝動を感じました。

 エンタメ性を存分に保ちながら、全力で大きなものに喧嘩を売る。
 昨今荒れているメディア業界を描いた作品なので、モヤモヤしている人はこれを観るとスッキリすること間違いなしでしょう。

 あー、面白かったな。皆さま、是非劇場で御覧下さい。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23