辻仁成が愛犬との日々を描く『犬と生きる』発売前重版!「だから、さんちゃんと出会ったのだ」

 パリ在住の芥川作家でミュージシャンの辻仁成が、愛犬・三四郎との出会いや共に暮らすことの豊かさについて綴る新刊『犬と生きる』(2月27日発売)。予約好調につき同書の発売前重版が決定したことが発行元のマガジンハウスより発表された。

辻仁成著『犬と生きる』(マガジンハウス)書影

『犬と生きる』は、パリの辻家に “新しい家族” としてやってきた、生まれたばかりのミニチュアダックスフンドとの3年にわたる記録をまとめたもの。三四郎と名付けられた子犬は、息子が巣立った後の辻の友達、家族、時には道しるべとして共に暮らすことに。辻が主宰するWebマガジン「Design Stories」のコラム「JINSEI STORIES」(2022年1月~2024年9月)を抜粋・再構成し、10歳だった息子が大学に入るまでを描いた前作『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』のその後の物語だという。

 辻は同書について、今年2月21日の「JINSEI STORIES」の中で以下のように振り返っている。

〈『犬と生きる』っていう本は、ある程度長く生きたぼくのような人間が、人生の後半において、なぜ、犬と生きているのか、犬と生きる道を選んだのか、ということが書かれたエッセイ集となっている。

 これは、3年前に、三四郎と出会った時から、三四郎が3歳の誕生日を迎える時までの記録なのだけれど、もちろん、この日記が中心に編集されているのだが、改めて通して読むと、ぼくの心の動きというか、人間がなぜペットと生きることを選ぶのか、が、ちゃんと書かれていた。(略)自分で書いておきながら、そうか、そうだったんだ、だから、さんちゃんと出会ったんだね、と涙が出そうになるのをこらえる場面もあった。

 生きる、ということだけでも大変なのに、どうして、犬を世話して、あえて、生きることを選んだのか、おかしなもので、自分で書いておきながら、なるほど、と納得できたのだ。

 人間って、やっぱ温もりが必要なんだ、孤独でいいんだけれど傍にだれかいてほしいんだよね、うんうん…。

 これは人生における「第三楽章」なんだな、と思った。最終楽章の手前ということ。第三楽章は、やや穏やかに、そして円熟し、大団円へと向かう助走の場面である。

 権力のあるものが勝つ独裁者だらけのこの世界の片隅に、犬と生きる人たちがいるのだ、ということが印(しる)されている。(略)権力者には絶対にわからない、ささやかな、愛の物語がここにあった。〉

 装画を含めたイラストレーションはすべて辻本人が手がけ、本文には愛犬・三四郎の写真がカラーで登場する。『犬と生きる』(マガジンハウス)は2月27日、全国の書店・インターネット書店にて発売。定価1980円(税込)。

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