鷲尾伶菜の“正解” ーー 独立して1年、音楽と自分に向き合って作った初めてのロックナンバー
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ーータイトルの「正解」というのは、この曲を制作していくうえで、最初からあったキーワードですか? 前回のアルバムの時のインタビューを読み返してみたら、この曲とは全然違う流れの話でしたが、“正解”という言葉を使っていて。それで、“正解”は鷲尾さんにとってポイントとなる言葉なのかなと。
鷲尾:私、絶対的な正解ってないと思っていて、誰にでもその人の正解があると思っているんです。この曲は「正解は自分で作るもの」というのがテーマ。私の人生は私が正解だし、あなたの正解もある。今はネット上でいろんな意見が飛び交って、自分の意見が正しいと思って人のことを悪く言ったり傷つけたりするのが当たり前の世界になってしまったけれど、それはその人の気持ちで正解であり、私にも私の感情があってそれが正解だと思っている……アウトロの部分にそういう歌詞を書いています。
ーー「正解」はリアルでドキュメンタリーな曲と言えそうですね。今までも自分の思いを曲や歌詞に乗せたり重ねた経験はあると思いますが、今回はかなり生(なま)の気持ち。それを歌詞にする上で難しさや苦しさはありませんでしたか?
鷲尾:それはなかったかな……なんか懐かしい気持ちでした。嫌になるほど歌ってきた曲にも本当に助けられてきたんだって思えましたし。
ありのままを表現できるってうれしいことです。それも伝えたいことを伝えるために曲を選ぶという順番を踏めたからだと思います。先に曲があってということだったら、自然とこの曲にはこういう世界観がいいだろうなってどうしても縛られてしまったと思いますから。
ーーただ「正解」の“ありのまま”の部分は、ちょっと隠しておきたいようなところでもあると思うんですよね。
鷲尾:そういう意味ではロックだったからできたんじゃないかな……ロックアーティストたちはこうやって歌詞を紡いでいるんだなって思いましたし勉強にもなりました。私はこれまで自分自身のために、自分を奮い立たせるような言葉で曲を作ったことがなかったので、新鮮でした。
ーーこの曲で鷲尾さんのロックを解放し、その気持ちよさを知って、今後その方向に突き進んでいくんでしょうか?
鷲尾:それはどうだろう……それもいいですけど、「正解」はやっぱり1 発目だったからできた曲。私、表現の幅を広げるために、人生経験を豊かにすることをテーマに30 代を過ごしているので、いろんなものに挑戦してみたいんです。それこそアニメっぽい曲もやってみたいしボカロもやってみたい……安定にラブソングも歌いたい(笑)。