THE RAMPAGEの陣、初エッセイ『JOKER』は“陣生”とランペ愛でぎっちぎち?

忘れていた感情が呼び起された

ーー読み応えのある一冊。タイトル決めには悩まれたとのことですが、そのほかの部分はいかがでしたか?

陣:すごく長い時間をかけて取材をしてもらいました。何時間ぐらいやろ……3 時間ぐらいのインタビューを週2~3回、それを4週間とか……え、そんな?(笑)。幼少期からこれまでを振り返りながら何度かしゃべらさせてもらったんですけど、その時の感情だったり、忘れてた感情も呼び起こされたり。グループと向き合ういい機会にもなりました。めっちゃ感謝しています。

ーーその忘れていた感情って?

陣:いろいろあるんですけど、ひとつは2回目の夢者修行のファイナルの時、あの時の気持ちです。8000人ぐらいの人が集まってくれてたんです。たくさんの人が来てくれたって自分たちは思っていたんですけど、マネージャーはSNSで呼びかけて1万人にしようって。そういう数字ってただ他の数字なのかもしれないけど、やっぱり大事なことですから。その時は、これだけやってても自分たちはゴールテープまだ切れてないんや、満足いってないんやって思ったんですよね。

ーーその感じ、いまのTHE RAMAPGEの動き方につながってるというか、続いている感じがします。その感情を思い出して、改めて気が引き締まったのではないですか?

陣:そうですね。あとその時の自分たち頑張ってたなっていうか、そんなこととも戦ってたんや。頑張ってたな俺たち、よしよしみたいな感じです(笑)。

“陣生”のキーになった“ダンス”

ーー『JOKER』には陣さんの半生、“陣生”(じんせい)が綴られていて、いろんな出来事、たくさんの出会いについてもシェアしていただいています。今の陣さんを作るのに特に重要だったと思う“陣生”のイベント・出会いをひとつあげるとしたら、まず何が浮かびますか?

陣:いろいろあるんですけどね……、やっぱり中学時代のこと、本でおかんが書いてたんですけど、特別支援学級の友達と一緒に踊ったことかなあ。文化祭でみんなで踊ろうってなったんだけど、みんなはその子をどうすんやって。僕が仕切ってたのでその子に「踊りたい?」って聞いたら「踊りたい」って。それで本人がやりたいって言ってるからって、踊れるところだけ教えて、一緒にステージに立ちました。それがきっかけで、僕はこの“特別”って何なんだ、みんな同じだって思えたんですよね。いま、いろんな場所、いろんな現場に行っても、その場にいる人はみんな同じ、同じクラスだから一緒や!みたいな感覚が自分の中にあります。肩書きやラベルで人を見て判断しないようになったのも、その子と一緒にいてたからだと思いますね。

ーーお母さまや周りの人の導きもあったとは思いますが、中学生だった陣さんが自分自身でそこにたどり着いたのは、なかなかすごいことだと思います。

陣:それもダンスがあったからなのかな……どうなんやろ? ダンスになったら踊るか踊らんかじゃないですか? できるかできないかもあるのかもしれないけど、踊りたいならもう一緒や!みたいな。ダンスに出会えてなかったら、クラスの真ん中でなんかこう仕切るようなこともなかったと思うので、もうダンスに感謝ですね。そして、ダンスに出会わせてくれた、おかんにも(笑)。

ーーその他にもいろいろ素敵なエピソードが詰まっていて……いい”陣生”だなと思いました。楽しいだけじゃないだろうけれど。

陣:ほんまにそうですね。出会いってところだと、もちろん苦手やなとか嫌やなと思う人はいますし、過去にもいたでしょうけど、そういう人たちってなんか記憶に残らないんですよ。反面教師じゃないけれど、自分はそういう人にならんとこと思ってたら、いい人たちと出会ってきたみたいな感じがあります。

ーーそういったエピソードを一冊にまとめていくなかで大切にしたことはありますか?

陣:内容が自分のことやTHE RAMPAGEのことなんで、一方的に伝えるだけの本にしたくないな、読んでくれた方にとって、選択肢が増えるような本にしようという気持ちですね。毎日暮らしていく中で、いろんな経験をすると思うんです。人から何か言われて傷つくこともあると思います。その時にクソ真面目に受け止めて傷つくだけではなく、こういう捉え方があるんや、こういう受け流し方があるんや、こういう耐え方があるんやとか……みんなにそうしろとは言わないけど、そういう人もいるんやって思ってもらえるようにって。自分らしく生きていいんやっていう本にしたかったので。

寝てる時以外全部 THE RAMPAGEのことを考えてる

ーー内容は、ご自身について、そしてTHE RAMPAGEについて。グループの部分が、思った以上にボリュームがありました。

陣:『JOKER』が出るのが2025年、結成10周年を超えてという時で、このタイミングで自分が本を出すっていうのは、そういうことかなとも思いました。メンバーが自分の個性を出して書籍を出させてもらう中で、僕が出すんだったらグループのことを伝えないとって。

ーー個人的には、陣さんの本なのだから、もっと自分の話でいいのにと思いつつ、読み進めるほどに、それが陣さんだと思い直したり。グループのお母さん的な存在ですし。

陣:僕以外のメンバーがTHE RAMPAGEのこれまでを振り返るとか、そういうこと、あんまり想像しにくいですよね。メンバーはそれぞれ個性が強いし、僕もみんな個性を発揮してほしいという気持ちもあるし。僕はリーダーとして16人をまとめ、グループのことを一番長い時間考える立場ですから、(THE RAMPAGEのことを)伝えやすいと思いました。

ーー長い時間……陣さんは1日のうちどのくらいTHE RAMAPAGEのことを考えているんですか?

陣:寝てる時以外全部とちゃいます?(笑)

ーー質問するまでもなかったですね。エッセイの中にメンバーの名前が出てくるというよりは、しっかり登場しています。カバーを外した本体の表紙もメンバーに囲まれて満面の笑みの陣さんですから。

陣:いいですよね。この黒いTHE RAMPAGEが決まっている感じがする。メンバーはギャラをもらいますよとか言ってました(笑)。

ーー愛されリーダー(笑)? もともと表紙は全員でという考えでしたか?

陣:そうでしたね。本の内容と同じで、自分だけが映ってるイメージができなかったです。

ーー本の中にそれぞれのメンバーとお互いに語るパートがあります。陣さんは出来上がってからメンバーが何を話していたか読まれたんじゃないかなと思いますが……

陣:泣きそうになりました……。みんなほんまに良いことを書いてくれて! みんないいんですけど、一番年下の4人、長谷川慎、鈴木昂秀、龍、後藤拓磨の言葉を見てすごいしっかりしたなって。最年少って言われ続けるのってコンプレックスにもなると思うんですよ。ちゃんと独り立ちして自分で考えるようになってんねんなってちょっとグッときました(笑)。