「第3回高校生ecoアイデアコンテスト」で渋谷教育学園渋谷高等学校の「完全自作ボードゲーム『カンリンリ』」がグランプリを獲得。ゲームを通じて環境問題を自分事に

審査員を務めた早稲田大学理工学術院の所千晴教授。この日は4人の識者が審査員を務めた(撮影・蔦野裕)

 冒頭、阿部氏が「第3回になる今回も全国の高校生から前回を大きく上回る動画作品が集まり、国連が掲げているSDGsの17の目標のうち、5つに絞り、地球環境を保全するアイデアを3分以内の動画で表現していただいた。今回、皆さんには環境問題の解決方法について熱い思いを伝えていただければと思っている。また休憩時間などでは他のチームと交流を深めていただければ」などと挨拶した。

 グランプリを獲得した「完全自作ボードゲーム『カンリンリ』」は「日本の小中学生が環境問題に興味を持てない最大の理由は何か? それは“自分事”としてとらえられないこと。その意識を変えるためには問題点を疑似体験させること」という発想から生まれたアイデア。

 この疑似体験に遊びの要素も取り入れた「カンリンリ」はゲーマーが環境を守る立場と壊す立場の両方を経験し、普段は得られない新たな視点で物事を見ることができるというもの。ボード上は主力のエネルギー源をそれぞれ「火力」「水力」「原子力」「風力」とする4つの国に分け、各国は資材や資源を確保し発電所を稼働させるのことで電子マネーを入手するのだが、その際に火力発電は「環境負債」という負債も同時に課せられるなど、発展と環境負荷のバランスを取りながら街を作り、最後は勝利の条件であるロケットを打ち上げを目指す。環境負債が多くなると「ハプニングカード」によってさまざまなマイナス効果が発生。これは世界中に影響があるものと当事者国にのみ影響があるものとさまざま。また現実の排出量取引制度も取り入れるなど、現実とリンクしたものとなっている。

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