森山直太朗、亡き父ジェームス滝や「母・森山良子と30年ぶりに再会したシーン」への思い語る

 

 公開中の 映画『素晴らしい世界は何処に』の舞台挨拶が29日、都内にて行われ、森山直太朗と番場秀一監督が登壇。森山が亡き父ジェームス滝への思いを込めた主題歌『新世界』を生歌唱した。

 シンガーソングライター森山直太朗が2022年から約2年間にわたり国内外で行った20thアニバーサリーツアー『素晴らしい世界』の映像作品をもとに、新規映像や新たな楽曲を取り入れたドキュメンタリー映画。

 森山初のドキュメンタリー映画『人間の森をぬけて』(2019)でもタッグを組んだ2人。森山が「今でこそお茶目な一面も知っているけど、最初は寡黙で独特の雰囲気で…」と苦笑しつつ、番場監督の映像に「誤解を恐れずに言えば生以上の臨場感」と絶賛。初めは映画化を予定していなかったと言い「番場監督が、自分の人生そのものを組み込んでくれたことで映画化できたんだと思います」と感謝。

 同ツアーの最中、2023年12月に実父のジェームス滝が逝去。2024年3月に“番外編”として行われた台北のライブで、滝の死とともに思いを語ったMC部分や、森山が録音していた生前の肉声なども収録。

 森山は「うちの父親と母親(歌手・森山良子)は僕が若いころに別れて暮らすことになって、僕は母方についた。その母と父が30数年ぶりに再会するあのシーンは、番場監督が(台北での)長いMCを入れたことが呼び込んで、不思議な流れができたと思う」と編集に感嘆。

 さらに森山は「死に際、父が教育深いことや面白いことを口走るようになっていたので録音していた」という音声を、映画の参考にと番場監督に渡したところ「ごめんなさい、これは受け取れませんと言われたんです。自分は監督だから聞いたら絶対に映画の素材として使ってしまう、と」と言い、そんなやりとりを経ての劇中使用だったことを明かした。

 この日は、森山が「父の思いを歌った曲」という主題歌『新世界』を生歌唱。
「亡くなる2カ月ほど前に、ふと父は逝ってしまうんだな、と思った。いつかは来ることだけど心の準備がまだできていなかった」と曲のきっかけを振り返り「それまで、作ったことも忘れちゃっていたんですけど、エンディング曲の話になって番場監督に聞いてもらったら“これで行きます”と。映画自体のシンボリックなものになった」と感慨深げ。

 最後に森山は「今日は、父もちゃっかり客席に座ってるんじゃないかと思う」と笑顔を見せていた。

『素晴らしい世界は何処に』は3月28日から2週間限定全国公開。

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