今田美桜、朝ドラ『あんぱん』で“生きるよろこび” アンパンマンのやなせたかしさん夫妻がモデル「自分もそうなりたい」

「諦めなかったら何か道が開ける」
のぶが生まれ育った高知でクランクイン。その経験が、のぶを演じるうえで生きているという。
「のぶの、はつらつとしたエネルギーみたいなものと高知の感じは似ている部分があるんだろうなと思います。だからこそ高知県で、熱々の太陽のもとで走るシーンからスタートできて本当にありがたかったです」
のぶは三姉妹の長女で、家族に愛されて、魅力的な人物に成長していく。母親・羽多子を江口のりこ、妹の蘭子を河合優実、もう一人の妹のメイコを原菜乃華が演じている。
「朝田家はとってものほほんとしています。皆さんそれぞれ、のほほんとしているんですけど、いざスタートとなると集中力がガッと一致します」
なかでも、加瀬亮演じる父親の存在は大きい。のぶは、父の「おなごだって夢を抱いていい」といった言葉とともに、まだ女性が生きにくかった時代を力強く生きていく。
「当時の女性は学校を卒業したら結婚して家庭に入るのが当たり前だったと思うんですけど、のぶは素直にそれを不思議に思うんです。昔からお父さんにそう言ってもらえたからだと思います。夢を追いかけることを認めてもらうために説得するシーンがあるんですが、今も昔も変わらないのは諦めないっていうことだなと思います。私もこの道に進みたいという夢を持った時、両親を説得するのに勇気がいりましたが、今は諦めなくて良かったなと本当に思っています。このシーンを撮りながら思い返していたんですけど、諦めなかったら何か道が開けるんですよね。それがないと叶うものも叶わない。のぶが諦めずに頑張り続けるのを見て勇気をもらってもらえたらうれしいです」
物語が進むほどに戦争が色濃くなり、のぶも変化を迫られていく。その時の経験や葛藤が、ひっくり返らない正義の物語『アンパンマン』につながっていく。
「やなせさんの正義について考える部分で、のぶからの正義、また違った方からの正義、国としての正義もまた違う。これまで戦争について勉強する機会はありましたけど、そういう形で考えたことはなかったです」
そうした経験をするなかで『アンパンマン』のイメージにも変化があるという。
「『アンパンマン』は小さい時から大好きで、当たり前に見ていましたし、歌も自然と口ずさめて、いつ覚えたのかも記憶がないぐらいに当たり前の存在でした。朝田のぶを演じさせていただくことで、やなせさんはこういうことを伝えたかったのかなとか、生きる喜びとか、そういうものについて深く深く包み込むように伝えてくださったんだなって。大人になってから読むと全然捉え方も違うんですよね。やなせさんが、子どもも大人と変わらない人間だからっておっしゃってるんですが、本当にそうだなって。だからこそ、こんなに長く愛されてる作品なのだと感じています」