サンシャイン水族館でペンギンやカワウソについて考える!「世界ペンギン・カワウソの日」

飼育スタッフの與倉陵太さんは「世界各国の動物園・水族館では、2016年時点で3482羽のケープペンギン(日本では622羽)が飼育されているが、これは世界中のケープペンギンの個体数の約18%にあたる。日本の飼育数だけで約16%を占めており、日本はケープペンギン飼育大国と言える」と説明。主な生息地であるナミビアのハリフォックス島では、1930年代に見渡す限り生息していたケープペンギンが2004年にほぼいなくなった資料写真が残されている。実際に野生下の個体数は1920年代に約1000万羽だったペア数が、2024年時点で約9900羽まで激減したという。
では、なぜケープペンギンが絶滅の危機に瀕しているのだろうか。原因は①グアノの採掘、②ペンギンと卵の乱獲、③事故による海洋汚染、④気候変動と餌生物の減少と移動など。ケープペンギンは海鳥の糞や死骸が長期間かけて堆積したグアノ層に巣を作るが、グアノは20世紀初頭に肥料として “白いゴールドラッシュ” と呼ばれるほど大量に採掘された。同時期にケープペンギンの卵は食用、脂は食用油や燃料として利用され、乱獲されてきた過去がある。さらに近年は大型タンカーの往来による重油流出事故の影響や、気候変動によるイワシの数の減少や移動のため、エサ不足やハゼやクラゲを食べることで栄養不足も起こっている。

コツメカワウソは東南アジアや中国の南部などの河川や湖沼、湿地帯などに生息。「IUCN絶滅危惧種レッドリスト」の「危急種(VU)」に指定され、正確な個体数は不明ながらも過去30年間で約30%ほど減少したと考えられている。原因は①生息地の減少、②生息地の質の低下、③外的要因に弱いこと。生息地が大規模農園などの開発によって失われ、近くの田畑で農薬を使用することによる餌生物への影響やゴミの廃棄による生息環境の悪化、毛皮やペットのために密猟・密輸されている現実もある。
與倉さんは「2007~2017年の間に日本に密輸されたコツメカワウソは少なくとも7件、52頭が押収されている。世界で一番密輸されている国が日本で、2019年にはワシントン条約で国際取引は原則禁止となった」と警鐘を鳴らした。