日本の国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」がミャンマー地震の支援活動を報告。日本での報道の少なさに「関心を持って」と「災害の記憶の風化」へ警鐘

物資の支援については山本氏が「食料と衛生用品をパッケージ化したものと、毛布とか蚊帳といった生活用品。この2種類をセットにしたものを用意して配布し、今も続けている。現地で聞き取り調査をして、他の民間の団体とかミャンマーの一般の方々の支援と被らないように調整して、必要なところに必要なものが届くような活動をしている」という。
そのうえで稲葉氏は「医療に関してはあらゆるものが十分ではない。これは紛争下だからというところもあるが、それがなかったとしても、日本で起こったとしてもかなり大変な状況になるような地震だった。なかなか地震の被害情報も先進国のように的確に出てこないところもある。私たちもマンダレーとザガインを毎日、車で行ったり来たりして見ていたが、この状況であれば、病院はもちろんひっ迫するし、手術もキャパオーバーになってなかなかできなくなるし、ベッドも院内では回らず外に並べないといけないという状況になるのは想像に難くないという状況だった。その中で外傷の処置が終わった後、いわゆる災害に関連した病気とかメンタルの不調が出てくるのは全世界共通。心のケアが非常に重要なフェーズになっていくと思う」と現在の医療ニーズと課題を挙げた。
また診療する中で「紛争地から子どもを守るためにザガインに逃げてきて、その直後に地震が起きて子ども2人を失った若い夫婦がいた。お父さんは20代で足に大きなケガをしていたが、子どもを失った悲しみで1週間、自分の足をほうっておいていた。傷もかなりうんでいたが、その話を聞きながら処置をしていた。私も子供が3人いるが本当につらいだろうなと思った。イスラム教徒でモスクでお祈りしている途中に地震があって37人亡くなったという方もいた。私はその中の生き残りだと言っていた。ケガ自体は大したことなくても壮絶な体験をしている方もいた」といった例があったことも報告。