K-1小宮山工介が人命救助「そのまま走り去ることはできなかった」
■小宮山が事故当時の様子を語る
徳島県鳴門市の県道で交通事故の現場に遭遇し、炎上したトラックの中から男性を救出したK-1ファイターの小宮山工介(K-1ジム北斗会館代表)が14日、都内で会見を開き、当時の模様を語った。
事故があったのは12日。修行の一環として徳島市に住む少林寺拳法の先生を訪問する途中の出来事だった。
小宮山は「車とトラックが横並びになって炎上していて、すぐに事故だと分かり、そのまま走り去ることはできませんでした。まず乗用車から一人を救出して、続いてトラックからも救出しようとしたのですが、事故の衝撃で鍵がロックされている密室の状態で、中に人が閉じ込められていました。僕も外からドアを開けようとしたのですが開かなくて、周りに大きな石などもなく、とっさの判断で空手のヒジ打ちが出ました。自分で言うのもなんですけど…パリン!と見事に割れました(笑)。それで中の男性がはうようにトラックから出てきたので、僕と一緒にいた方と安全な場所に移動しました」と説明した。
■10針縫うケガを負うも命に別状なし
小宮山の活動もあり、事故は小宮山を含め4人のけが人ですんだ。小宮山自身はヒジに裂傷を負い10針縫い、ガラスの破片が少し残っているとのことだが、骨には異常はないようで破片を取り除いた後にリハビリを始める予定という。
今回の件は格闘家の体の強さはもとより、精神力の強さがあってこその出来事。小宮山は“恐怖心はなかったか?”と問われると「やはり車両が炎上していたので爆発するんじゃないか? 爆発した破片が飛んでくるんじゃないか?という恐怖心はありました。でも格闘技の試合でも恐怖心はあるし、相手だけでなく『自分がやられちゃうんじゃないか?』という恐怖心とも戦っています。そういった意味では恐怖心の抑え方は試合と似ていたかもしれません。“怪我をして試合に出られないかもしれない”という気持ちもありましたが、自分で心を落ち着かせて、いつもの力を出そうとしました。救助した方が命に別状がなく本当に良かったと感じています」と当時の心境を振り返った。
■小宮山「禁じ手を使ってしまいました」
ちなみにK-1ではヒジ打ちは禁止なのだが「僕の父親は空手の先生で、5歳からずっと空手の練習をしています。K-1ルールではヒジ打ちは反則なんですけど、今回は状況が状況なので禁じ手を使ってしまいました(笑)」とのこと。
小宮山は昨年9月の「K-1スーパー・フェザー級世界最強決定トーナメント」1回戦で勝利を収めたものの足の負傷で準決勝を棄権。以降、復帰に向けてトレーニング中の今回の救出劇だった。
K-1の宮田充プロデューサーによると当初は9月18日に行われるさいたま大会で復帰戦を行う予定だったが、ヒジのケガの具合をみて9月か11月に小宮山の復帰戦を行う予定という。
小宮山自身は「9月大会へ向けて準備していたところで、ヒジでガラスを割れるくらい仕上がって、コンディションもよかった(笑)。はっきりいつ試合ができるとは言えませんが、早く試合をしたいと思っています。一日も早く万全に仕上げて、もっといい状態で試合することを約束します」と復帰戦に向けての思いを口にした。
なお小宮山には鳴門市の警察署と消防署から感謝状が贈られた。