【格闘家イケメンファイル Vol.74】無限の速射砲 安保璃紅(あんぽ・りく)

撮影・神谷渚

 関西では最強の格闘兄弟として有名だった“安保三兄弟”の末っ子璃紅。昨年から拠点を横浜に移した。

「昨年の9月に上京してきました。兄(次男の瑠輝也)と一緒に来たんですけど、最初は嫌だったんですよ。同じところでやるのが。でもよく考えたら、小さい時からお兄ちゃんと一緒にやって来て、結果を残してきたし、それが一番強くなれる方法なのかなと思って、あえて一緒のジムを選びました。ここ(TRY HARD GYM)にしたのは、HIROYA選手とか大雅選手とか、かっこよくて結果も残しているから。あとサポートとかトレーナ―の人も素晴らしいと思ったので。1人暮らしをしていますが、修行だと思って生活しています(笑)。友達もいないですし、ジムと家の往復で、今は毎日が練習です。日曜日も一応休みなんですけど、ほかの人の試合を見に行ったり、疲れを抜くため温泉に行ったりするだけ。遊びに行こうという気持ちはなく、どこかに行くとしても自分の体を休めるためだったり、体のメンテナンス、気分転換の息抜きなど、格闘技のための事をしています」

 格闘技を始めたのはやはりお兄さんの影響?

「そうですね。長男も次男も極真空手をやっていたので、流れで自分もという感じ。物心ついた時にはやっていました。遊び場が空手の大会の会場だったので(笑)。もともとは長男がブルース・リーに憧れて空手を始めたんですけど。兄たちに対してライバル意識はないですけど、お兄ちゃんが負けた大会でも僕は優勝していました。兄弟の中では、自分が一番優勝回数が多いです。負けず嫌い? 超がつく負けず嫌いです。末っ子って結構おもちゃにされるので、昔から兄たちにいじめられてきたんです。でもお父さんもお母さんも助けてくれない(笑)。わざと泣いたりしてみたんですけど、まったく助ける気配がない。そんな経験から、自分の身は自分で守るしかないなと。心の中で、絶対に見返してやるって思っていました。そういうので、めっちゃ負けん気がつきましたね」

 その負けん気で、Krushに参戦すると、あっという間に−60㎏の王者の座に駆け上った。

「9月の初めに上京し、9月末に試合をして、12月18日には、第5代Krush −60kg王座決定トーナメントの1回戦に出場していた。それから勝ち続けて、5月にチャンピオンになることができました。トーナメント出場が決まり、他の出場選手を見たら、正直強い人がいっぱいいるので、優勝できるのかなと思いましたが、やるからには絶対優勝してやると覚悟を決めた。まだKrushのファンの方も自分の事をあまり知らなかった人が多かったと思うので、決勝までいってびっくりしていたと思うし、さらにチャンピオンになって驚いたと思います。でも自分のなかではそれは必然だったと今は感じていますし、次はベルトを守っていく側として、挑戦してくる人を、10代の若い自分が倒していかなきゃいけないと思っています」

 トーナメントの決勝の相手はレオナ・ペタス。判定までもつれ込んだ決勝戦は、これまでにない盛り上がりを見せた。

「戦っていた2人の気持ちがあの試合では会場にいた人にも伝わったと思うんです。レオナ選手からも勝ちたいという気持ちがものすごく出ていて、それは戦っていてすごくよく分かったし、それ以上に自分も勝ちたいって気持ちがあった。そういう気持ちが伝わった試合かなと思いました。関西からもたくさんの応援団が来てくれたんですけど、ほとんどの人が泣いて。お父さんも泣きながら“おめでとう、チャンピオン”と声をかけてくれました」

 まだ10代。今後の夢は。

「格闘技って、感動とか刺激、そのほか喜怒哀楽すべてを与えられると思うんですよ。それはこの前の試合でもすごく感じたことで。だから自分は常に熱い試合をして、老若男女問わず刺激や感動を与えられる選手になりたいです。Krushのベルトの価値を上げていく事はもちろんですが、いずれはK-1にも参戦したい。小学校の時にテレビで見た魔裟斗さんに憧れてキックボクシングを始めたので、K-1の舞台で活躍することが夢ですね。新生K-1はだんだん盛り上がって来て、会場も大きくなっているし、いずれは大晦日に地上波で放送されるようになったらうれしいです。というか、自分がそうなるようにしていきたいと思います」

撮影・神谷渚
安保璃紅(あんぽ・りく)
兵庫県姫路市出身。1997年9月9日生まれ。4歳から極真空手を始め、第1回 国際青少年空手道選手権大会で優勝するなど、数々のタイトルを獲得。長男、次男(瑠輝也)とともに安保三兄弟と言われ、関西ではその強さと実績で、格闘技界では有名だった。2016年9月からKrushに参戦。12月には「第5代Krush −60kg王座決定トーナメント」に出場。順調に勝ち進み、「Krush.76」(5月28日、後楽園ホール)で行われた決勝戦でレオナ・ペタスに勝利し、史上最短のプロ8戦目でチャンピオンに輝いた。TRY HARD GYM所属。Twitterアカウント:@999n18Ri
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