EXILE TETSUYA「DANCEの道」第40回「ただ踊りたいから踊ってるんだろ?」
アメリカ・カリフォルニア州の砂漠の真ん中にそびえるSalvation Mountainという丘は、レオナード ナイトさんという方が30年かけて作り上げたアートです。そこには大きくGOD IS LOVE、「神は愛だ」と、カラフルに描かれています。そこに立ってみれば分かるのですが、こんな大作を1人で作るにはあまりにも過酷な環境だと思いました。毎日いったい何を考えながら水を汲みに遠くまで行き、泥や粘土を混ぜながら丘にペイントをしていたのか…。ぜひ、お会いして聞きたかったのですが、レオナードさんは昨年亡くなられたと知らされました。
DANCE EARTH PARTY(DEP)のミュージックビデオをこのSalvation Mountainで撮ろうと言い出したのがÜSAさんで、前から行ってみたい場所のひとつだったらしいです。
今回のDEPの新曲『DREAMERS’ PARADISE』のイメージと、この場所のパラダイス感は写真で見て一目でリンクするものがあり、メンバーもスタッフさんもワクワクしながら、まずサンディエゴに到着し、そこから車で3時間走ります。街を外れるとそこから見える景色はひたすら荒野(笑)。岩と砂と枯れてしまいそうな植物と一本道だけです。早朝の暗いうちに出発した僕たちは、そんな荒野に昇る太陽がいつもより厳しくそして偉大だと感じたことがなんだか不思議でした。
途中に立ち寄った村の一角で撮影はスタートし、イメージシーンやÜSAさんと僕のDANCEシーンを撮ったのですが、踊り始めてビックリしたのが、汗をあまりかかないのです。カラッカラに渇いた空気と40度以上の気温が汗をみんな蒸発させてしまい、気づいたら脱水症状になってしまうので常に水分を取らなくてはいけません。踊っては休み、また踊っては休みと、なかなかハードな撮影になったのですが、画を見てみるとそんな気温と空気が間違いなく日本では撮れない雰囲気を映し出していました。空は高く、大地は広くまさにDANCE EARTH!! そもそも海外で撮影できることなんてあまりないので、果てしなくテンションは上がりますね(笑)。個人的に今回音は入ってないのですが、ミュージックビデオで初めてタップダンスに挑戦することもできたので、ぜひ観てみてください。
Salvation Mountainを目指しながらメンバーとスタッフの皆さんと本当に旅をしているみたいな撮影は、ようやく目的地に到着してShizukaちゃんも加わりカラフルな「丘」の上に立つと気持ちが落ち着いたのを覚えています。レオナードさんが30年かけて描いたアートとDEPの音楽とダンスが融合して、勝手にですけど、なんだか暑いけど頑張れって言われているような気がして夢中で踊ってしまいました。
もしかしたらレオナードさんは何も考えていなかったのかな? ただそう思ったから、そしてそこに良さげな丘があったから気長に毎日水を汲みに遠くまで行き、泥や粘土を混ぜながら丘にペイントをして過ごしていたんじゃないのかな? そんなふうに思った僕は、ただ踊りたいから踊ってるんだろ? それだけでいいし、それ以上もそれ以下もないんだって聞こえたような気がしました。