石原慎太郎 東京都知事「東日本大震災!緊急事態に東京は何をするべきか?」
三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が日本を襲った。太平洋沿岸を中心に津波が発生し、東北から関東の太平洋沿岸が大きな被害に見舞われた。そのうえ福島第一原子力発電所は、いまだ予断を許さない状況となっている。この緊急事態の中、東京都知事 石原慎太郎氏に話を聞くことができた。東京都は、この緊急事態に何ができるのか。すでに都庁では節電を実施し、薄暗い知事室の中での取材となった。
都内でも計画停電が実施された。東京都では不測の事態に備えて、引き続き対策を進めるとのことだ。石原慎太郎 東京都知事は冷静な対応を呼びかけている。
東京での放射線は?
気になることは、福島原子力発電所の影響だ。東京都では健康安全研究センター(東京都新宿区百人町)で年間を通して測定している放射線量を公開している。15日に、一時高くなったが、その後は安定している。「数値が上がったといっても、すぐに健康に影響が出るレベルではありません。現地、福島の方にはもっと深刻な問題となっています。太陽が輝いているだけで、自然の中で、常に放射線を浴びています。基準値の1000倍の値になったからといっても、基準値は十分低い数値に設定しているので」と心配ないレベルとしている。さらに、政府が福島原子力発電所の現状に関して会見を行っているが、それに対しても苦言を呈している。「何を言っているのかよく分からない。受け売りで話すからたどたどしくて、不安を煽ってしまうんです。専門家が説明したほうがいいと思うのだけど」と、もっと分かりやすい説明をメディアを含めてするべきだとした。
節電で福島に恩返しを
都内でも計画停電が実施された。大規模な停電が起こる不測の事態が起きないように、節電への協力を呼びかけている。「東京の電力は、福島原子力発電所にはお世話になっていました。今度は東京が恩返しをする番だと思っています。使っている暖房を1度でも、2度でも下げるだけで違ってきます。都民の方だけでなく、東京で働いている方にもご協力をお願いしたいですね」と都民にできることをお願いした。特に首都圏の鉄道は通常運行にはほど遠い状況だ。都でも都庁舎の照明を消すだけでなく、職員の時差勤務を進めているという。
その中で、政府の対応にも注文をつけた。「政府は節電を呼びかけるだけでなく、10時以降はネオンを全部消す、自動販売機は夜の稼動を止める、コンビニエンスストアは10時に閉店させるとか。政府も何ができるかを考えて行動してもらいたいですね」と政令での執行にも言及した。
東京都では現場として、警視庁と連携して警察官による交通整理、病院での自家発電の点検といった必要に応じたできる限りの対策を実施している。電力は被災地の医療活動、復旧活動でも必要なものだ。節電も被災地の復旧を後押しすることにつながるのだ。
買いだめは控えよう
「買いだめしても仕方ありません。東京は日本最大の消費地のため、過敏になることは分かりますが、冷静に行動してください。停電になると、買いだめした食料が使えなくなるかもしれません。各製造工場もフル生産体制に入っているという報告も受けています」と買いだめを慎むように呼びかけている。
食料品や飲料水以外に、都内ではガソリンの品切れという状況が引き起こされている。被災地の救援・復旧のためには、物資やガソリンが欠かせない。もちろん電力もそうだ。被災地のためにも、買いだめの自粛やガソリンや電力の節約が必要なのだ。
大規模な支援を開始
被災地支援のために百億円単位で準備を始めている。「東京都トラック協会の協力で、物資を運ぶ準備を進めています。第一弾として衣料品などの支援物資を緊急搬送するのです。まずは岩手県、宮城県気仙沼市からの直接要請に応えます。宮城県、福島県とも調整中です」と財政再建を果たした東京都ができることから進めようとしている。あわせて、都民からの義援金の受け付けを開始している。
さらに、省庁への提言として「総務省の役人は、地方の役所で働いたことがある人が多いから、土地勘がある人もいます。そういう人たちを支援に送ったらいいと思っています。都の役人にも募集をかけています。何百人かで支援に行こうと考えています」と人と物資を中心にした支援のほか、被災者に都営住宅約600戸を提供しようとしている。
世界的に見ても地震大国の日本は、常にこのような危機に直面しているといっていい。東京がリーダーシップを果たして、被災地に対して行えることを考え、支援を進めることが大切なのだ。