世界陸上で男子ハンマー投げの室伏が初の金メダル
韓国・大邱で開催された陸上の世界選手権の第3日(29日)、男子ハンマー投げの室伏広治(36)が81メートル24の今季自己最高で初優勝し、ロンドン五輪代表にも決まった。7度目の出場の室伏は金メダルを獲得した2004年アテネ五輪以来の世界制覇。日本選手として五輪と世界選手権を制したのは初めて。
6投中4投で80メートルラインをオーバー。残る2投も79メートル台をそろえた。ほかに80メートルを超えたのはパルシュの1投だけ。欧州勢が“壁”に苦しむ中での横綱相撲は際立った。
1投目で79メートル72と今季自己最高を更新し80メートルラインをかすめると止まらなかった。2投目で80メートルを超え、3、5投目でこの日最長の81メートル24をマーク。表彰台には両手を突き上げて登壇。2004年アテネ五輪の金メダルはドーピングで失格者が出ての繰り上がりによるもので、表彰台で金メダルを受け取れなかった。今回は日の丸を見つめながら君が代を聞き、喜びをかみしめた。
女子100メートルの予選は第2日(28日)に行われ、福島千里は予選4組で11秒35の2着に入り予選を突破。日本勢で初めて準決勝に進出した。五輪を含めると1932年ロサンゼルス五輪以来79年ぶり。しかし翌日に行われた準決勝では11秒21の自己ベストをはるかに下回る11秒59。3組で最下位に終わった。福島は開口一番「がっくししました」。そして「あー、やっぱり悔しいっ」と、思わず感情がほとばしらせた。しかし一段階上のステージを体感できたのは収穫だった。
また第2日(28日)に行われた男子100メートル決勝では、前回大会覇者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)がフライングで失格。同じジャマイカの新鋭、ヨハン・ブレークが9秒92で初優勝した。昨季から1回のフライングで失格となるルールが適用されていた。
今季はスタートでの出遅れが目立っていたボルト。昨季はアキレス腱(けん)と腰の痛みに苦しみ、8月にはタイソン・ゲイ(米国)に土をつけられた。残るシーズンを休養に充て、今年5月に戦列復帰したが、全盛期の出来には戻っていなかった。
第4日(30日)に行われた女子棒高跳びではファビアナ・ムレル(ブラジル)が4メートル85で初の金メダル。エレーナ・イシンバエワ(ロシア)は4メートル65で6位で、2大会連続でメダルを逃した。
男子400メートルは18歳のキラニ・ジェームズ(グレナダ)が逆転勝ち。グレナダに大会初の金メダルをもたらした。同800メートル決勝では世界記録保持者、デービッド・ルディシャ(ケニア)が1分43秒91のタイムで圧勝した。