石井聰亙改め石井岳龍監督が12年ぶりの劇場用長編作

『狂い咲きサンダーロード』『逆噴射家族』などの石井聰亙改め石井岳龍監督の最新作『生きてるものはいないのか』の完成披露試写会が16日、都内で開催された。本作は小劇場を中心に活動する五反田団の前田司郎の戯曲を映画化したもの。舞台では独特の手法を用い大きな話題を呼んだ。前田は本作で第52回岸田國士戯曲賞を受賞している。

 この日は石井岳龍監督(石井聰亙改め)と主演の染谷将太が登壇した。

「毎年一本くらい企画は動いていたが、なかなか実現しなかった」という石井監督にとっては『五条霊戦記 GOJOE』以来、12年ぶりとなる劇場用長編作。「今まで映画とはダイアローグではなく、ビジュアルで見せるものだと思っていたが、それを考え直すきっかけとなった」と原作の印象を語った。染谷は今年、ヴェネツィア国際映画祭で最優秀新人賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞したのだが、石井監督は染谷を主役に起用した理由について、2009年に発表された『パンドラの匣』を見て「久々にスクリーン映えのする、力のある男優が出てきた。ぜひ仕事がしたいと思った」と語った。

 喫茶店の店員役の染谷は「ここまでの会話劇は初めて。言葉にできない不気味なおもしろさがある」と作品をアピール。撮影が始まったばかりのリハーサルの段階で煮詰まってしまい、石井監督に「喫茶店でアルバイトしてきます!!」と言って、翌日喫茶店でアルバイトをしたというエピソードを明かした。

 作品は2012年2月18日よりユーロスペース他にて公開。