政策仕分けが「特例措置を解消、年金減額」を提言
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政府の行政刷新会議は11月20〜23日の4日間の日程で、各省庁に中長期的な政策の見直しを促す「提言型政策仕分け」を行い、原子力・エネルギー関連予算や大学改革の方向性など10分野25項目を取り上げた。
今回は初日から4人の現職閣僚が出席するなど異例の重厚布陣が敷かれた。だが、平成21年11月の事業仕分け第1弾の統括役として省益に鋭く切り込んでいた枝野幸男経済産業相が、仕分けられる側として出席し、省の主張を唱える場面もあり、仕分け劇場にかつての熱気は感じられなかった。
またみんなの党の渡辺喜美代表が22日の党役員会で「税金を使ってなぜこんなショーをやるのか。民主党政権の政治の劣化が表れている。法的な決定権も拘束力も何もない」と批判したように、実効性についても疑問の声が上がってはいる。
中でも注目を集めたのは最終日の23日に俎上に上がった年金制度。仕分け人は年金支給額を物価下落と連動させずに据え置きとしてきた特例措置を解消し、平成24年度から減額するよう求めた。
提言を受け、小宮山洋子厚生労働相は同日午後、記者団に対し、「(特例措置は)私の見解としても解消すべきだと考えている」として、24年度から3年間かけて減額を実施する意向を表明した。ただ、年金減額には与党などからの反発も予想される。
年金の支給額は物価変動を考慮して毎年調整することになっているが、平成12年度以降、デフレによる物価下落を反映させず、ほぼ据え置いてきた。今年度は実際の支給額が本来の額よりも2.5%高くなっており、財務省はこれまでに約7兆円の「もらいすぎ」が生じたと説明した。仕分け人からは「若い人と高齢者のバランスを公正にすべきだ」などの意見が相次いだ。
今年6月にまとめられた社会保障と税の一体改革成案では、少子高齢化で年金財政が悪化していることを踏まえ、特例措置を来年から3年間で解消することを盛り込んでいた。
また、生活保護について、支給額が基礎年金や最低賃金を上回ると受給者の就労意欲をそぐ可能性があるとして、支給水準を見直すことを提言した。受給者の自立に向け、NPO法人などと連携した就労支援の強化についても対策を求めた。雇用対策では、国の雇用保険積立金が約4兆円(23年度末見込み)と高水準のため、雇用保険料の引き下げなどの検討を打ち出した。