米軍再編問題で共同発表 「普天間」分離明記 グアム移転先行
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(Photo/AFLO)
日米両政府は8日夕、在日米軍再編のロードマップ(行程表)見直しに関して基本合意し、共同報道発表した。平成18年の日米合意でパッケージにした在沖縄米海兵隊のグアム移転を、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設と切り離し、先行移転させることが柱。普天間飛行場に関しては同県名護市辺野古への移設を堅持すると明記した。
共同発表では、アジア太平洋地域の平和と安全を維持するため日米同盟の強化をうたい、普天間移設に関する日米合意を「唯一の有効な進め方である」と断じた。オバマ米大統領が発表した新国防戦略を踏まえ「グアムが戦略的拠点として発展することが不可欠だ」とも強調した。
沖縄の負担軽減に向け、米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)より南の米軍5施設・区域の先行返還も普天間移設と切り離して議論することも盛り込まれた。
一方、共同発表でグアムに移転する海兵隊の規模は示されなかったが、18年の合意の約8000人から約4700人に縮小することで大筋合意している。
米側は、残る約3300人のうち約1500人の米軍岩国基地(山口県岩国市)への移転・常駐を打診したが、日本側の抵抗で留保された。
今後は移転経費負担を定めた協定見直しなどが焦点となる。審議官級協議で詳細を詰め、4月下旬にも外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で正式合意する運び。野田佳彦首相も直後の訪米を調整しており、オバマ大統領と日米安全保障共同宣言を打ち出す見通し。
しかし、この米軍再編計画の見直しは、今後の政府のかじ取りによっては、国益を損なう「負の連鎖」の始まりとなりかねない。
共同報道発表は計画見直しの意義を強調したが、普天間飛行場の固定化と並び、在沖縄海兵隊の岩国基地移駐が最大懸案となる。
岩国をめぐる再編計画は移駐と訓練分散を複雑に組み合わせ、負担の増減のバランスを取った内容だった。
ところが、米側は今回、沖縄からグアム以外に移す海兵隊のうち約1500人を岩国に移駐させる案を提示した。
日本政府は、岩国移駐について「協議していない」(玄葉光一郎外相)などと火消しに躍起となっているが、これにより岩国では現行計画への反対運動が再燃しかねない。