武田真治 インタビュー「こんなにずっと脱いでたっけ?」

その魅力、危険すぎ!

人気の男優と女性写真家が毎回刺激的なコラボを繰り広げる「月刊MEN」シリーズ。今回は蜷川実花×武田真治!

「まず感じたのは驚きでしたね。こんなにずっと脱いでたっけ?と(笑)」

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ヘアメイク・Machiko Horie スタイリスト・Shinya Itoh(ATHENA) 撮影・蔦野裕

 蜷川実花×武田真治…これは、大人同士ならではの刺激が期待できそう…と思っていたら、いきなり表紙でノックアウトされてしまった。でも、当の本人も驚いたというのは一体…?

「実は、当初の方向性は大人の男性のオンとオフ、というものだったんです。大人っぽいものもありナチュラルなものもあり、という。僕ももう40歳になるしパパ的なイメージもいいなと思って、下北沢で散歩したり、よその子と遊んだりしている写真とか、けっこう撮ったんですけどね。上がってきたものを見たら、ほぼ半裸か全裸で…あれ、セーター着て散歩したくだりが一切無いぞ、と(笑)。オンとオフのはずが、ほぼ “オンパレード”」

 ページをめくるたび、胸板が…腹筋が…何よりも、妖艶すぎるまなざしが…!

「どうかするとナルシストかと思われるかもしれませんが、ずっとこんなに裸だったわけじゃないんですよ(笑)。しかも3割以上、実物より男前に盛られているので、驚きに加えて気恥ずかしさも、かなりあります」

 俳優とはいえ、カメラの前でここまでさらけ出すのは緊張するものなのでは?

「出来上がった写真集を見るとわりと緊迫感もありますけど、実際にはごくリラックスしていましたね。“ほのぼの系”も撮っていましたから。公園で子どもとベーゴマで遊んだりブランコ乗ったり…結局、あの撮影は、僕をリラックスさせるためのものだったりして(笑)。それはそれで、蜷川実花という写真家のすごさだと思いますけどね。彼女はフォトグラファーという技術を持った演出家なんでしょう」

 同時に、男性でありながら、蜷川作品ならではの絢爛な色彩、とくに赤色をここまで“自分の色”にしてしまう武田も見事。

「蜷川さんが“これまでの『月刊MEN』シリーズでは私の特色である色彩を押さえてきたけど、今回その封印を解いた”とメイキングでおっしゃっていたのを見て、そうだったんだ、と(笑)。蜷川さんいわく、ハードルを上げていたけれど、(武田は)それができる人だから、とも言ってくれていて。そんなことを一切僕に直接言うことなく、これだけのものを作る。男前な人ですよね」

 実は蜷川実花が初めて写真を撮った芸能人こそ武田真治その人。今回の撮影は、それから16年後の“再会”だ。

「ある部分、少女に戻っているようなところもあるし、器が大きくなったなと思わせられるところもありました。相手に要求するというより、自然と引き出していくところとか」

 今回、蜷川が引き出したのは、強烈な色気を漂わせながらも、構えも気負いもない、武田真治の“大人の男の余裕”。

「今後、父親役なんかを見越してほのぼの系のイメージも必要かな、なんて思って、オンとオフというテーマでいこうとしたけれど、今回、蜷川さんに教えられた気がします。“あなたは、オンの部分だけ切り取っても成立するんだよ”と言ってもらったような気がして、とてもうれしかった」

 20代のころと変わらない、というのは彼にとってほめ言葉ではない。

「でも自分も“大人”になったなあ、と思いますよ(笑)。例えば以前は、自分のアイデンティティーを表明するためにサックスを吹いていたような気がするんですけど、今は、僕のことなんか見向きもせず僕の音で楽しそうに踊ってくれている若い人を見るのがすごくうれしいんですよね。まだ演奏中なのに、女の子の手を引いてバーカウンターに向かうヤツとか見ると自分も役に立っているのかな、と思えて(笑)。もちろん、僕らにとって自分と向き合うことは大事なことなんだけど、今は他の人の幸せを心から願えるし喜べる。若いころって、ちょっとでも辛いことがあると“もう何もかも滅びちゃえ”とか思いませんでした?(笑)」

 30代最後の写真集に焼き付けられたのは、ミュージシャンとして俳優として進化し続ける、エンターテイナー・武田真治。この魅力に抗うのは、正直言って、難しい。

「最も危険な“主演作”ができたなと思います(笑)」

(本紙・秋吉布由子)

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