2020年東京五輪が日本の復活を世界に発信する

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2020年夏季オリンピック・パラリンピックの候補地に名乗りを上げた東京。2月13日には国際オリンピック委員会(IOC)に申請ファイルを提出。5月の理事会で審査のうえ正式な立候補地が決まり、最終的には2013年9月のIOC総会で開催都市が決まる。昨年起きた東日本大震災で大きなダメージを受けた日本にとって、2020年夏季五輪はその復活を世界に示すために、どうしても譲れないところ。「日本を元気に」を旗頭にさまざまな企業、団体、個人が招致に向け活動を始めた。そんななか東京23区に事業所をおく企業・団体で構成されている地域総合経済団体である東京商工会議所も2020年五輪の誘致実現に向け活動を展開中。東商にその取り組みについて聞いた。

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 東商が2020年東京オリンピック・パラリンピック招致を応援している理由とは?

「日本はリーマンショック以降なかなか不況から抜け出せず、東日本大震災の発災とそれにともなう原発や電力需給問題など、さまざまな課題を抱え閉塞感から抜け出せずにいます。そんな中で、最近の子供や若者は夢や希望を失っているといった話もよく聞きます。世界最大のスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックをもう一度日本で開催することによって、この閉塞感を取り払い、子供や若者にもう一度夢と希望を持ってもらいたい。そして、日本にかつて1964年、東京オリンピックに湧いたころのような活気を取り戻したいと思います」

 では2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が実現した際には、日本経済においてどのような効果をもたらすのでしょうか?

「五輪開催による経済波及効果は前回の2016年の際に約2兆9000億円とされており、今回も同程度の数字が見込まれています。特に、若干回復してきてはいるものの、東日本大震災で大きく打撃を受けた観光産業への効果は非常に大きいものがあると思います。五輪の招致で日本経済にもう一度活力を取り戻したいと思います」

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 東商の会員企業からはどのような声が上がっていますか?

「賀詞交歓会やイベントなどでは“前回は残念だったから今度こそやりたい!”“今回のロゴは綺麗でいいね。社員にもバッジを着けさせたい”といった声や“2016年のときものぼり出したりして協力していた。今回もぜひ協力したいので、ポスターやグッズなどが欲しい”という要望もいただいています。実は2016年の招致の際に次回の招致に向けたアンケーを行ったのですが、その中では“・オリンピックは生涯の中で一度体験できるかどうかの最大のイベントであり、幼いころの体験でもその記憶は鮮明。良い思い出となるので実現して欲しい”“日本が持っている世界的に誇れる素晴らしさをもっと積極的にアピールしよう”といった声が寄せられています」

 今回のオリンピックは日本にとっては特別な意味合いを持ったものとなります。もし開催できたとするなら日本は世界にどんなことを発信すべきでしょう?

「2020年のオリンピック・パラリンピックを東日本大震災からの復興の証として、復興した日本の姿はもちろん、歴史的な大災害を克服した日本人のたくましさ、日本人の絆や団結力といったものを世界に発信できると思います。同時に世界中からいただいた支援に対する感謝の意を表す最高の舞台になるのではないでしょうか」

 それでは私たちはどんな活動をしていけばいいのでしょう。読者へのメッセージも含めてお聞かせください。

「招致の実現には、皆さんの賛同が不可欠です。ぜひ招致を実現して、一緒に2020年のオリンピック・パラリンピックをこの目で見て感動を分かち合いましょう。2020年のオリンピック・パラリンピックを東京で、この目で見るという経験は私たちだけでなく、子供や孫にとっても一生の宝物になるはずです」

〈招致決定までの流れ〉

2012年 2月15日

各申請都市によるIOCへの申請ファイル提出期限日

5月

IOC理事会で書類選考。大会の開催能力のある都市が3都市〜4都市に絞られ、正式立候補都市に選定される

7月27日〜8月12日

ロンドン五輪開催期間中、立候補都市による招致活動が行われる

2013年1月7日

各立候補都市によるIOCへの立候補ファイル提出期限日

2月〜4月

IOCの評価委員会が各立候補都市を現地視察

6月

スイスのローザンヌで各立候補都市のプレゼンテーション

9月7日

第125回IOC総会(ブエノスアイレス)において開催都市が決定


3月22〜25日 国際アニメフェアにもブースを出展

 東京商工会議所は2020年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けて、すでにさまざまな活動を行っている。

 最大の目的は前回2016年の招致の際には55.5%にとどまった国内支持率の向上だ。会員企業に対しては、1月に各地で開催した賀詞交歓会にアスリートを招くなどして約7000人にPRしたほか、2月24日には、なでしこジャパンの佐々木則夫監督を講師に、約600名の参加者に五輪招致をPRする講演会を開催した。

 一般の都民に対しては11月に丸ビルで開催した東北応援の物産フェアをはじめ各区の区民祭りなどでブースを出展してPR。エンターテインメント界を巻き込んだ活動としては、映画『Always3丁目の夕日'64』とタイアップし、「2020年、あの感動をもう一度」と題したポスターを作成。一部電車や駅で掲出したほか、会員企業や全国の商工会議所の協力も取り付けている。

 また3月22日から25日まで東京ビッグサイトで開催される『東京国際アニメフェア2012』において招致をPRするブースを出展することも決まっている。

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