ミャンマー連邦議会補選でスー・チー氏NLD圧勝

 民主改革を進めるミャンマーで1日、連邦議会補欠選挙(45議席)の投開票が行われた。ミャンマーの選挙管理委員会は2日、民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさん(66)が当選したと発表。3日には最終集計結果を発表し、スー・チー氏率いる野党・国民民主連盟(NLD)は43議席、他の2議席は同州の少数民族政党と、与党・連邦団結発展党(USDP)が獲得した。

 国民は投票により、絶大な人気を博すスー・チー氏への強い期待と、政権、軍に対する根強い不信を表明したといえる。同氏は「新たな時代の始まりだ」と宣言した。

 スー・チーさんは今後、下院議員として国政に参加するが、議会で与党が多数を占める状況に変化はなく、どこまで影響力を発揮できるかは不透明だ。今回の補選は、軍政から昨年3月、民政移管したテイン・セイン政権下で初の選挙。NLDは1990年の総選挙以来、約22年ぶりに参加した。自由で公正な選挙を求める欧米が選挙結果をどう評価し、経済制裁の解除・緩和にどこまで踏み切るのか注目される。

 選管の発表ではNLDがヤンゴンの全5選挙区で勝利するなど圧勝し、とりわけ政府関係者や軍人が多い首都ネピドーの全4選挙区をも押さえたことで、政権とUSDPは「スー・チー旋風」の強さを、危機感をもって肌身で感じたに違いない。その勢いが、2015年の総選挙に持ち込まれることは、間違いないからだ。

 スー・チー氏は3月30日の記者会見で、目指す民主主義像について「欧米型か、アジア型かというのではなく、国民のための民主主義だ」と述べた。「この国には乾期、涼しい時期、暑い時期、雨期があるが春はない。だが、人々が(政治の)春を満喫できるときが来ることを望んでいる」とも語った。そうした「新たな時代」へ向け、彼女は新しい一歩を踏み出した。