吉川晃司が幕府を立て直す!舞台『陽だまりの樹』
吉川晃司が初めてストレートプレイに挑戦する舞台『陽だまりの樹』が13日、池袋のサンシャイン劇場で、初日を迎えた。この日午後には、公開舞台稽古が行われ、吉川、もう一人の主役の上川隆也も、舞台を駆け回り、激動の幕末を駆け抜ける男たちを熱演した。
吉川は、徳川幕府の腐敗を知りながらも、最後まで彼なりの方法で仕えようとするまっすぐな下級武士を熱演。彼が演じる、無口で、男気にあふれる「男が惚れるいい男」、そして自分の信じるものに尽くす男の姿は、昨年「日本一心」を旗印に掲げ、ひたすら走り続けてきた吉川本人の姿とどうしてもダブって見える。大きく時代が変わろうとしているなかでもがき、己の戦いに挑む男が内に秘める熱っぽさが、本紙コラムで本人が語っていた「醸し出す感じ」で、ストーリーが進むほどにじわじわと染みる。
上川は、芸者遊びが大好きという遊び人だが、病に苦しむ人を見ると助けずにはいられないという生粋の医師を、つばを飛ばす熱演。初ストレートプレイの吉川の演技を、どっしりと受け止めていた。
手塚治虫さんによる同名の長編歴史漫画を舞台化。価値観の転換を突きつけられた幕末に生きる、明るく奔放な医師とまっすぐな武士が熱い友情で結ばれ、それぞれの戦いに挑んでいく姿を描く。倒幕、開国、病い、命をかける男たちと、ヘビーな作品にも思えるが、ジョークやユーモラスなシーンが差し込まれ、涙と笑いが入り混じる舞台になっている。
公演決定がアナウンスされてから反響が大きく、12日に急きょプレビュー公演を行うほど、話題も注目も集めている。公演は同所で23日まで。その後、大阪、名古屋公演もある。