石原慎太郎都知事が「東京都が尖閣諸島を購入」

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(Photo/AFLO)

 東京都の石原慎太郎知事は16日午後(日本時間17日未明)、ワシントン市内のシンクタンク「ヘリテージ財団」で講演し、「日本人が日本の国土を守るため、東京都が尖閣諸島を購入することにした」と述べ、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島を個人所有する地権者と交渉を開始したことを明らかにした。  石原知事は買い取りを決めた理由について、東シナ海への中国進出の動きに触れ、「日本の国土を守るために島を取得するのに何か文句ありますか。やることを着実にやらないと政治は信頼を失う」と話した。  売買交渉は昨年末に開始。現在、代理人を通じて詰めの交渉を続けている。地権者の埼玉県在住の男性(69)が「東京都が買ってくれるのなら売ります」と話したといい、基本的な売買の合意は得ているもようだ。購入後は沖縄県や石垣市に共同所有を提案する考え。  購入を予定している魚釣島、北小島、南小島の価格は「10億~15億円になる見込み」(関係者)。都予算を使うことについて、石原知事は「大原則は国のためだ」と述べた。今年中に専門家による審議会に諮り、都議会の同意を得る方針。  藤村修官房長官は17日午後の記者会見で、石原知事の発言を受け、必要な場合は国による購入もあり得るとの認識を示した。野田佳彦首相も18日の衆院予算委員会で「こういう動きが出てきたことについて所有者の真意をよく確認したい。そういう中であらゆる検討をする」と述べ、国による尖閣諸島買い取りに含みを持たせた。国境にある離島は国が管理すべきだが、領有権を主張する中国を刺激するのを避けたいため実効支配の強化に対策を十分に取っていなかった。政府も重い腰を上げざるをえない状況となった。  また石原知事は一夜明けた17日午後(日本時間18日未明)には、ワシントン市内で「言うべきことを言っただけの話。でも、誰かがやらなければいけない話だ」と改めて強調。日本政府に対し「これは半分ぐらい(中国による)宣戦布告みたいな話。もっとしっかりしてもらいたい」と述べた。藤村官房長官が、国による購入もあり得るとの認識を示したことには「さっさとやればよかったんじゃない。持ち主が国は信用できないから、東京都ということだったんですが」と受け流した。  一方、中国外務省の劉為民報道官は17日、「違法かつ無効で、釣魚島が中国に帰属するという事実は変えられない」などとする談話を発表した。18日の定例記者会見では「日本のひと握りの政客の無責任な言行は中国の主権を侵犯するだけでなく、中日関係の大局をも損なう」と述べ、今後の日本側の対応を注視していく姿勢を示した。台湾の外交部(外務省に相当)は17日、「中華民国固有の領土」とする従来の主張を展開。「外交部としては承認できない。日本政府は政治家に対し、一方的な行動で友好関係を損なわないよう、慎重な発言を呼びかけてほしい」と話した。同部の章計平報道官が報道陣の質問に答えた。