大飯再稼働を容認 福井県に協力要請も…
野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相らは13日の協議で、関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働が必要との判断で一致し、福井県に協力を要請することを決断。枝野氏が14日、福井県庁を訪れ、西川一誠知事らに協力を要請した。政府が昨年7月に原発のストレステスト(耐性検査)を採用して以来、立地自治体に再稼働を要請するのは初めて。
枝野氏は西川知事との会談で、政府と関電がストレステスト1次評価などを通じ、3、4号機の安全性を最終確認したと報告。県側が要望した活断層調査なども前倒しして平成25年度までに終える考えを示し、再稼働後の安全性確保も強調した。
西川知事は「県の要望への一定の回答はあった」と評価。再稼働の是非については、政府が提示した新たな安全基準を県の専門家委員会で再検証する意向を表明。「県議会やおおい町の意向を踏まえた上で考えをまとめる」とし、明確な回答は避けた。そして16日には県原子力安全専門委員会の初会合を開き、政府が示した新たな安全基準が妥当かどうかの検証を開始。18日には同委員会の中川英之委員長(福井大名誉教授)が現地で両機を視察後、記者団に「全体として深刻な事故が起きた場合でも正常に制御できることが大体確認できた」と語り、安全性がほぼ確保されているとの認識を示した。
福井県は検証が終わり次第、県議会の全員協議会で再稼働の是非を議論するが、西川知事は「おおい町や県議会の意見を聞いた上で県の考えをまとめる」としており、地元同意には一定の時間がかかる見通し。また大飯の再稼働をめぐっては福井県と隣接する滋賀県、京都府のほか、大阪市などの関西圏も慎重姿勢を崩しておらず、政府が目指す7月中の再稼働も不透明な状況だ。
一方、17日には藤村修官房長官の記者会見で、関西電力大飯原発の再稼働を議論している野田佳彦首相と関係3閣僚らの会合について、途中で陪席の官僚を退席させ、その間の議事録を作成していないことが明らかとなった。13日の6回目の会合で3、4号機が安全基準を満たしていると最終確認したことなど、重要な政治判断の過程が不透明になる。東日本大震災関連の10会議で議事録が未作成だった問題と合わせ、批判は避けられそうにない。