陸山会事件で指定弁護士が控訴 小沢被告の無罪確定せず

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(Photo/AFLO)

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 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表の小沢一郎被告(69)を無罪とした1審東京地裁判決について、検察官役の指定弁護士側は9日、「判決には看過しがたい事実誤認がある」として、東京高裁に控訴した。小沢被告の無罪は確定せず、高裁で審理が続くことになる。  主任格の大室俊三弁護士(62)は同日会見し、「判決は十分に修正可能だと考えた」と控訴理由を説明した。  1審は元秘書による虚偽記載を認定し、小沢被告と元秘書の間に政治資金収支報告書の記載をめぐる「報告・了承」があったことも認めた。だが、小沢被告が「虚偽記載にあたると認識していなかった可能性があり、故意の立証が不十分」として元秘書との共謀は認めず、禁錮3年の求刑に対して無罪を言い渡した。  このため、指定弁護士側は「こちらの主張の大部分を認めながら、結論は無罪とした判決の論理には、納得できない」として、控訴を検討。被告人の立場が長引く小沢被告の負担も考慮しても、控訴審で判断を仰ぐべきだと結論づけた。  小沢被告は9日、「先日の無罪判決の内容を見る限り、控訴審でこれが覆ることは想定しにくく、指定弁護士が控訴したことは理解に苦しむ。いずれにしても、弁護団と協議した上、早期に公訴棄却もしくは無罪という結論が得られるよう、万全の対応を取りたい」とのコメントを発表した。  控訴を受け、小沢被告の弁護団も9日午後、司法記者クラブで会見。主任弁護人の弘中惇一郎弁護士(66)は、「大変意外。やや、がっかりしている」「違和感がある」と、指定弁護士への不満を繰り返した。  冒頭、控訴の感想を聞かれた弘中氏は、「弁護士の感覚からすると、1審で無罪となった人をさらに被告として裁判を続けることに大変な違和感がある」と述べ、「指定弁護士は検察と違って、弁護士の感覚を持っているものだと期待していた」と続けた。  小沢被告の控訴審で最大の焦点となるのは、指定弁護士側が「違法性の認識」を立証できるかどうか。1審は指定弁護士側の主張の大半を採用しながら、この点が立証しきれていないと判断、判決の明暗を分けることになった。指定弁護士側は「相当の確度で判決を修正できる」と逆転有罪へ自信を見せるが、より難しい立証を迫られることになるのは確実だ。  なお民主党は8日の常任幹事会で、小沢被告に対する党員資格停止処分を10日付で解除することを正式決定していた。