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(Photo/AFLO)
総選挙後の混乱が続くギリシャで、パプリアス大統領は15日、組閣に向けた最後の調停のため主要政党の党首らと会談したが、物別れに終わった。会談後、大統領報道官は再選挙実施が確定したと述べた。総選挙後9日間続けられた政権樹立への試みが失敗した。
大統領は政治家以外の学者や官僚出身者を首班とする「実務者内閣」の樹立を提案して事態打開を図った。15日の調停には極右政党と共産党を除く5党の党首が参加。提案には、財政緊縮路線を進めてきた第一党の新民主主義党(ND)と第三党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が容認したが、急進左派連合、議席数最少の民主左派は反対した。
大統領は、NDとPASOKでは多数派に届かないため、反緊縮派の第四党、独立ギリシャ人党の協力取り付けを目指したが、説得できなかった。PASOKのベニゼロス党首は「傲慢と狭量な政党政治、ご都合主義が勝った」と語った。大統領は16日、各党党首と協議を行い、再選挙を6月17日に実施することで合意した。
ギリシャは10日に欧州金融安定化基金(EFSF)から42億ユーロ(約4300億円)の融資を受けたが、40億ユーロの次回支援に向け、欧州連合(EU)から6月中に、116億ユーロ相当の追加緊縮策をまとめるよう求められている。
だが、再選挙までの間にギリシャ政府が緊縮策をまとめ、EUと交渉するのは困難。また再選挙では、支援の枠組み撤回や抜本的見直しを主張する反緊縮派の第二党、急進左派連合が第一党に躍り出る可能性が高い。そうなると緊縮策実施は一層難しくなる。
ユーロ圏諸国からは、ギリシャが緊縮策をとらない場合、「将来の支援は不可能」(ウェスターウェレ独外相)との警告が相次ぐ。支援停止なら、ギリシャは6月末にも資金繰りに行き詰まるとの見方が強い。
このため、同国が無秩序なデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ離脱の動きが強まるのではないかとの不安が市場で高まっている。