3党合意でギリシャ新政権樹立 首相はサマラス氏

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新首相に就任したサマラス党首(Photo/AFLO)

 財政緊縮路線を継続するか否かを争点に17日投票が行われたギリシャ国会(300議席)の再選挙は、即日開票の結果、緊縮策継続を訴える前与党の新民主主義党(ND)が第一党となった。NDのサマラス党首は「国民はユーロ残留のため投票した」と勝利宣言、NDは18日、政権樹立に向け連立交渉に入った。  公式最終集計では、NDは選挙法により第一党に上乗せされる50議席を加え129議席を獲得。前政権でNDとともに緊縮策を進めた全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の33議席と合わせると162議席で、過半数を占める。緊縮策撤回を掲げた急進左派連合は71議席で第二党となる。単独過半数を確保した政党がなかったため、パプリアス大統領は18日、NDのサマラス党首に組閣を要請。サマラス党首は急進左派連合のツィプラス党首に政権参加を拒否された後、PASOKと協議した。  20日にはNDとPASOK、穏健な反緊縮派の民主左派の3党が新政権樹立で合意した。5月6日の総選挙以降、欧州債務危機の震源地である同国の政治空白に終止符が打たれる。ただ、PASOKと民主左派は閣外協力にとどまるため、安定した政権運営ができるかは不透明だ。  組閣を担うNDのサマラス党首は20日午前、民主左派、PASOKの両党首とそれぞれ会談。政権の政策綱領の細部や閣僚の人選について話し合った。会談後、民主左派、PASOKの両党首は政権への協力を正式発表した。財務相にはギリシャ国立銀行のラパノス会長を起用する方向。  サマラス党首は同日午後、大統領官邸でパプリアス大統領と会談、宣誓式で「国を危機から救うためにあらゆる手を尽くす」と表明、新首相に就任した。新政権は欧州連合(EU)などの支援条件である財政緊縮路線を維持する一方、緊縮策緩和に向けた再交渉をEUに求める方針だが成果を出せない場合、政権は短命に終わるとの見方もある。