イチローがヤンキースに電撃移籍
米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手(38)=本名・鈴木一朗=が23日、電撃的なトレードでヤンキースへ移籍した。マリナーズには若手2投手が移り、金銭も受け取る。イチローは同日、シアトルで行われたマリナーズ戦に背番号「31」に変更されたユニホームを着て早速「8番・右翼」で先発出場し、3回の第1打席で中前打を放って4打数1安打。試合はヤンキースが4−1で勝った。
今季でマリナーズ12年目を迎えたイチローは、主軸として期待されながら、ここまで打率.261、4本塁打と不振に苦しんだ。
記者会見では若手が多いチーム事情に触れながら「今回の決断は大変難しいものだった」と苦悩をうかがわせつつ、「僕自身、環境を変えて刺激を求めたい、という強い思いが芽生えた」と自らが移籍を希望した心境を明かした。
ヤンキースはア・リーグ東地区で現在首位を快走するが、昨季ア・リーグ盗塁王の左翼手ガードナーが右肘を故障し、今季中の復帰が絶望視されている。加えて右翼手スウィシャーも故障を抱えており、実績ある外野手の獲得が喫緊の課題となっていた。
マリナーズは、ア・リーグ西地区で最下位と低迷。イチローは開幕当初、3番を任されていたが、今季は好不調の波が激しく、推定1800万ドル(約14億4000万円)とされる高額年俸に見合わない現状に、地元メディアの反応も厳しさを増していった。
資金が決して潤沢ではないマリナーズはこれまでR・ジョンソン、A・ロドリゲス(現ヤンキース)といった大物選手を放出した経緯がある。高額年俸のイチローを抱え続けるよりは、有望株の若手投手2人を獲得することで、チーム再建へとかじを切った形だ。
イチローもまた、そうしたマリナーズの思惑を事前に察知していたようにも映る。今回のトレードは自ら申し出たといい、会見でも「20代前半の選手が多いこのチームの未来に、来年以降僕がいるべきではない」と打ち明けた。イチローにとっても、ワールドシリーズ制覇を狙えるヤンキースでのプレーは、年齢的にみてラストチャンス。心機一転を図る上で、名門チームでの再出発は、イチローにとっても“渡りに船”といえるだろう。