日本プロ野球選手会がWBC不参加を決議

 労働組合・日本プロ野球選手会は20日、大阪市内で臨時大会を開き、日本の3連覇が懸かる来年3月の「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)への不参加を決議した。新井貴浩会長(阪神)は「1年前から主催者側に要望を出していたが返事がない。苦渋の決断をした」と説明。大会収益の配分やスポンサー権などで改善がみられないことを理由に挙げた。  2009年大会では収益金1800万ドル(当時約15億円)のうち、日本野球機構(NPB)への分配は13%(約2億円)で、大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会の66%(約10億円)と格差が生じていた。  WBCでは代表チームのスポンサー権やライセンシング(商品化)権を主催者側に譲渡することを参加条件にしている。選手会では再三にわたり日本側への帰属を求めたが、ライセンシング権は莫大(ばくだい)な利益を生むため主催者側も譲らず、改善はみられなかった。  新井会長は「出場したい気持ちはあるが、次の世代を考えると、苦渋の決断をせざるを得なかった」と語る。そして今後の交渉の余地については「(主催者側から)アプローチがあるとは考えにくい」と指摘するが、ある大リーグ関係者は「MLB選手会に所属する日本人選手に直接参加を呼びかけることは可能」と話す。そうした場合、日本のプロ野球の孤立化は避けられない。今回の不参加決議を、主催者側の譲歩を引き出すための"交渉カード"にすることも考えられ、主催者側と選手会との駆け引きは今後も続くものとみられる。  12球団側は昨年12月のオーナー会議で参加を表明しており、出場に向けて選手会と協議を続ける。