世界の北野 ベネチア凱旋「ホッとして眠くなっちゃった」

 第69回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品された北野武監督の『アウトレイジ ビヨンド』の公式上映が3日夕(日本時間3日深夜)、行われた。約4分のスタンディングオベーションに世界の巨匠は「客がいねえかと思ったけど、ホッとして上映中、眠くなっちゃった」と満席の会場に笑顔。一昨年のフランス・カンヌ国際映画祭に出品した前作『アウトレイジ』を超える熱気に感激した。

 ベネチア国際映画祭に4年ぶり8回目の“ホーム凱旋”。会場にはイタリアで10年前に結成された「北野武 サッサリ・ベネチア ファンクラブ」のメンバーが「北野武 映画の神様」とプリントされたTシャツを着て駆け付けるなど、改めてKITANO人気を証明した。

 上映は本編開始前から盛り上がり、1000人の観客は「オフィス北野」のクレジットが登場した瞬間、拍手。終了後はさらに熱狂的で、指笛とスタンディングオベーションの嵐が起こった。

 映画は、関東と関西のヤクザが繰り広げる飽くなき裏切りと抗争を描いた暴力映画。一昨年のカンヌ国際映画祭に前作を出品した際には、過激すぎる暴力シーンが賛否両論を呼び、公式上映中に席を立つ観客もいたが、ベネチアではほぼ全員が最後まで鑑賞。笑いも起きた。

 北野監督は「カンヌでは暴力シーンばかり取り上げられ“ざまあみろ”って思ったけど、エンターテインメントに徹した今回はみんな喜んでくれたからホッとした」と安堵の表情。「なんでコンペに呼んでくれたのか分からないけど、箔はつく」と笑った。