ニュースの焦点 柳条湖事件81年の18日に中国125都市で反日デモ 

 日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に抗議するため、今月11日から反日デモが行われている中国。尖閣国有化後初の週末となった15日には少なくとも50都市で行われ、計8万人以上が参加した。北京の日本大使館前で行われたデモの参加者は2万人を超え、1972年の日中国交正常化以降、最大規模に膨らんだ。

 そして満州事変の引き金となった昭和6(1931)年の柳条湖事件から81年の18日には、北京や上海、遼寧省瀋陽など少なくとも125都市で行われた。

 北京では約5000人、上海では約1万人がデモに参加。広東省広州でも計約1万人が日本総領事館が入るホテル周辺などに押しかけた。記念式典が行われた瀋陽の「九・一八歴史博物館」周辺で日本国旗が焼かれたり、北京の日本大使館や瀋陽の日本総領事館の窓ガラスが割られたりするなどの被害が出た。

 しかし19日には全土的な広がりや大規模なものは確認されず、ようやく沈静化した。中国当局は「一般国民の怒り」として反日デモを容認してきた。しかし、18日を過ぎたこともあり、これ以上デモが拡大して混乱が起きることを懸念し、デモ容認から抑制へ転じたとみられる。

 一方、中国の次期国家指導者に内定している習近平国家副主席は19日、北京の人民大会堂でパネッタ米国防長官と会談し、日本政府による尖閣諸島の国有化を「茶番」と批判し、パネッタ氏に対し、「米国は平和と安定の大局から言動を慎み、釣魚島の主権問題に介入しないよう希望する」とクギを刺した。

 中国はかねて、米国が同諸島を日米安保条約の適用範囲としていることに反発。習氏はパネッタ氏に、米国の介入によって状況を複雑化させないよう強く求めた。

 なお尖閣諸島周辺では14日午前に日本領海内に中国国家海洋局所属の海洋監視船6隻が相次いで侵入して以降、19日の段階では中国政府の海洋監視船や漁業監視船がとどまり、日本の接続水域への出入りを繰り返し、海上保安庁の巡視船とにらみ合いを続けている。