野田秀樹と三谷幸喜が絶妙な掛け合い 舞台『おのれナポレオン』

 野田秀樹と三谷幸喜という演劇界の2大トップランナーが初めて舞台でタッグを組む『おのれナポレオン』の制作発表会見が23日、池袋の東京芸術劇場で行われた。会見には作・演出の三谷幸喜と出演の野田、天海祐希、内野聖陽、山本耕史が登壇した。

 本作は2009年に同劇場の芸術監督に就任した野田が、自身が役者としてかかわる作品を三谷に打診したことから生まれたもの。約3年前から企画が指導していたという。

 そして三谷が選んだ題材は「ナポレオン」。このフランス史上最大の英雄の最期には、病死、暗殺などさまざまな謎がある。「ナポレオンはなぜ死んだのか?」その真相を三谷が自分なりの解釈で描くという。

 そのナポレオンを演じるのが野田。三谷は「ふだん野田さんがやらないような作品をやりたい」との思いからナポレオンが浮かんだという。そして「本当の野田さんのことはよく知らないが、ナポレオンとの共通点がたくさんある。若干こじんまりしている、せっかち、ものを食べるときやたらこぼすとか…(笑)」といじると、野田は「脚本はあきらかにあて書きになっていると思う。どのように私のことを見ていたのか実感している。『申し訳なかった』『嫌な思いをさせていたんだな』と思わせるほど、嫌な役に描かれている。『エラくなり過ぎて周りに言うヤツがいない』といったセリフがあり反省させられている」と切り返すなど絶妙なやりとりを見せた。

 野田は自らが作・演出を担当しない舞台に出演するのは初めて。「真ん中(主役)のつもりで依頼したつもりではなかった…」と言いつつも、「今まで知らなかった役者の気持ちを思い知ることになるのかなと思うと楽しみ。この年でこういう場をいただき感謝している」と完全に役者モード。また演出家として作品にかかわる時と比べて「責任感なく見られると、どんなに自由に見られるのか」「役者同士の楽しい雰囲気に入れるかな」と今から稽古場が楽しみな様子だった。

 4月9日から5月12日まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演。1月26日から前売りが開始される。