24年度補正予算 参院「1票差」で可決

 緊急経済対策の裏付けとなる総額13兆1054億円の平成24年度補正予算案は26日、参院本会議で自民、公明の両党に加え、野党の一部も賛成に回り、1票差で可決、成立した。「1票差で否決」との見方もあっただけに、自民党はこの日の採決を衆参「ねじれ」の解消に向けたターニングポイントと意気込む。

 安倍晋三首相は26日、野党が多数を占める参院で補正予算が可決、成立したことの意義を記者団に「薄氷を踏む思いの採決だったが、何とか1票差で成立した。この1票差は決められない政治から決められる政治への第一歩だ」と強調した。

 自民党では野党議員の動向を最後までつかみきれず、参院本会議で「否決か、可否同数で民主党出身の議長の1票で否決」(国対幹部)とみていた。ところが、ふたを開けてみると、衆院で賛成した日本維新の会に加え、新党改革と国民新党、さらにみどりの風の大半が賛成票を投じた。民主党を離党した2人のうち、川崎稔氏は賛成し、植松恵美子氏は欠席。その上、生活の党の藤原良信氏が棄権したことで1票差での可決につながった。

 一方、民主党の海江田万里代表は補正予算成立後、川崎、植松両氏の離党について「補正予算の可決につながった。大変残念だ」とつぶやいた。

 補正予算は緊急経済対策関係費として10兆2815億円を計上。内訳は、学校の耐震化など「復興・防災対策」に3兆7889億円。再生医療の研究支援など「成長による富の創出」は3兆1373億円。地域の資源を活用した産学連携拠点の整備など「暮らしの安心・地域活性化」には3兆1024億円を計上した。基礎年金の国庫負担分に充てるための将来の消費税増税分で返済する「つなぎ国債」は2兆5842億円を発行する。