猪瀬直樹東京都知事「東京のホスピタリティーを世界に発信」
猪瀬直樹東京都知事が東京マラソンを振り返り、2020年オリンピック・パラリンピック招致への思いを語った。
「あれだけの大人数の人がみんな都庁でランニングウェアに着替えるんですが、42キロを走ってビッグサイトに着いたときにはそこに着替えた荷物がちゃんと届いている。これがホスピタリティーなんです。これは都庁の職員だけではなくボランティアの協力があってできること。そういうボランティアが1万人いるんです。そして沿道では200万人近い人たちが応援していた。あの日はスポーツで東京がひとつになりました。その東京マラソンより大きなお祭りがオリンピック・パラリンピック。あのみんながひとつになる雰囲気がもっと大きな規模で起こる。これを実際に2020年にやろうとしているんです」
オリンピックが来ることによる、日本、東京におけるメリットはなんでしょう?
「そのときまでに準備をするということが大事なんです。準備する過程のなかで気持ちがだんだんひとつになっていく。目標ができると、その目標に向かって人は進んでいく。今、日本には目標がないんですよ。司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』という作品があるんですが、ここでいう雲というのは目指すもの、目標とするもの。バブルが崩壊して以降の日本は、閉塞感があって、坂の上の雲がどこにあるのかが見えないんです。オリンピック・パラリンピックというのは雲なんです。“この坂の上に、2020年に、雲があるよ”と目標を持つことが大事なんです。そうすると心のデフレも取り払っていくきっかけになっていくんですね」
招致活動に向けての意欲を聞かせてください。
「3月初旬に、IOCの調査団がやって来ます。 “オリンピック・パラリンピックがこの東京で運営できるのか?”といったことを点検をしにやってくるんです。そこで東京マラソンで見せたようなホスピタリティーがあるということをきちんと説明しなければいけない。1964年の東京オリンピックは日本が廃墟から復興してくるプロセスの中で位置づけられていました。昔、日本は途上国でしたから先進国のモデルを追いかければ良かった。でも先進国というのは課題もある。高齢化社会といった課題をどう克服するかという新しいモデルを作らなければいけない。オリンピック・パラリンピックを通じて、その洗練された新しいモデルを見せたいと思っているんです。すべての高齢者、障害者に優しい、そういう都市になっていきたい。それが先進国の都市の姿だと思っています」
復興との連携も大事です。
「まだ復興の途上ですよね。それは行政が縦割りだから。縦割りだと復興できないですよ。弾みを付けるという意味でも、オリンピック・パラリンピックは必要ですね。2020年のときには“もう、ここまでできたよ”っていうところを世界に見せられるようにしたい。これもひとつの目標ですね」