〈新企画〉二十歳の視点Vol.4 「ダブルダッチ」
縄とダンスのパフォーマンス「ダブルダッチ」の魅力
これを『なわとび』と言っているようでは、もう遅い! 今や『ダブルダッチ』とカタカナ表記になり、『二重とび』や『あやとび』ではなく、2分間でどれだけ多く飛べるか競う『スピード競技』や、音楽とダンス的要素を取り入れた『フュージョン』といった新たなジャンルを確立している。
縄2本でアクロバティックに繰り広げられるパフォーマンスは、見る者の視線を釘付けにして離さない。個人の能力と縄のタイミングから成る、ある種の「曲芸」。なわとびの域を超えた「新境地」。今注目のスポーツのひとつだ!
今回は「ダブルダッチについて広く知ってもらう!」をテーマに、その魅力を存分に紹介。この記事を読んだ後、きっと身体がウズウズしているはず。
2月中旬と3月中旬に都内小学校で行われた、ダブルダッチの普及を目的とする講演会を取材。そこでは、日本体育大学のサークル「乱縄(らんなわ)」に所属する学生たちが招かれ、その魅力について話していた。このような講演会は、春休みなど学生の長い休みを利用して、1人20回以上行くときもあるという。
これが実際に使われている縄。写真・左は登山用ロープを少し加工したもので『フュージョン』のときに使われる。右はスポーツメーカーから出されているもので、主に大会指定として使われる。チームによって縄の使い方は異なるようだ。ちなみに、縄を飛ぶ人のことをジャンパー、回す人をターナーと呼ぶ。
『フュージョン』には構成にもこだわりが。「掴み」や「山場への持っていき方」、「音楽との兼ね合い」を考えながら、入念に組み立てていく。男女に限らず、メンバーそれぞれの「見せ場」もあるという。
しかし、より質の良いパフォーマンスにするには「女子のチカラ」が欠かせない。どこのチームも一定のレベルに達してしまうと、男子のチカラは拮抗するようで、そこで身軽な女子をいかに「華」として組み込むかが鍵となるらしい。
女子のパフォーマンスには「しなやかさ」が出る。構成全体にも、男子の気迫あふれる動きに、女子のしなやかさが加わることにより、メリハリが生まれる。また、その身軽さを生かし、より難易度の高い技を取り入れることもできる。結果、チームの底上げにつながるようだ。
講演会中、子どもたちに楽しくレクチャー し、運動が苦手そうな子にも優しく接していたのが印象的だった。2月の講演会終了後には、すっかりダブルダッチの虜になった子どもたちが、控室に戻った彼らにサインを求め、押しかけてきた。
5月にはニューヨークで世界大会が開催され、乱縄のチームである惚翔魅(クウカイ)の5人も出場が決定している。大会はシングルス(ターナー:2人×ジャンパー:1人)とダブルス(ターナー:2人×ジャンパー:2人)の合計点で競われる。大会の進行について「予選を勝ち抜いた上位チームが…」と説明されるが、理解に苦しんでいる記者に「陸上の大会みたいな感じだよ!」と、さすが体育大生らしい例え。
このチームのリーダー、淵貝くんは、まだダブルダッチを知らない人に向けて「ここの5人みんな大学から始めたし、いつから始めても遅くないので、興味を持ったらぜひやってください!」と初めてのインタビューにやや緊張気味に答えてくれた。
運命の赤い「縄」で結ばれた5人が世界へ飛び立つ。ぜひ世界大会では1位になって帰ってきてもらいたい! そんなエールも込めて。
(本紙インターン・川合健悟)