国民栄誉賞同時受賞の師弟の絆に胸アツ

 プロ野球元巨人監督の長嶋茂雄氏(77)と元巨人の中心選手で米大リーグのヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(38)への国民栄誉賞の授与式が5日、東京・水道橋の東京ドームで行われた。安倍晋三首相が2人の功績をたたえ、それぞれに表彰状と記念品の金のバットを手渡した。

 長嶋氏は平成16年に脳梗塞で倒れて以降、球場でファンに向けて初めてスピーチ。「ファンの皆さま、本当にありがとうございます。厚く御礼申し上げます」とあいさつすると大きな拍手に包まれた。

 松井氏は「大変光栄ではありますが、恐縮しております。今後、日本の野球の、野球を愛する国民のみなさんの力になれるように努力していきたいと思います」とあいさつした。

 熱い師弟関係で結ばれる2人の絆の強さを表したのがその服装。そろいの濃紺のスーツにワイシャツ、ネクタイ。松井氏が「同じ服装にしたい」と提案し、長嶋氏が選んだという。

 1992年ドラフト会議で4球団が競合した松井氏を、巨人監督に復帰したばかりの長嶋氏が自ら引き当てた。松井氏は阪神ファンだったが、長嶋氏の存在もあって巨人入りを決めた。師弟関係の始まりだった。

「巨人の4番は球界の4番」「ファンあってのプロ野球」−。長嶋氏が強く意識し実践してきた道を、松井氏も歩んだ。個人よりチームの勝利を優先し、ファンのため連続試合出場にこだわった。日本に戻らず引退を決断したのも「ファンは(巨人の4番だった)10年前の姿を期待する。自分がその姿に戻れる自信を強く持てなかった」。長嶋氏直伝の“スーパースターの美学”だった。
 また松井氏はこの日、「これからも僕の心の中には常にジャイアンツが存在し続けます。長い間、本当に、本当にありがとうございました」とファンに引退のあいさつ。

 今後の松井氏の動向に注目が集まるが、巨人の渡辺恒雄球団会長はすでに「いずれ大監督になってもらいたい」とラブコールを送っている。