レスリング吉田がヒヤヒヤの全日本優勝

 レスリング全日本選抜選手権が16日、東京・代々木第二体育館で行われ、五輪3連覇を達成した女子55キロ級の吉田沙保里と63キロ級の伊調馨が2年ぶりに優勝した。今大会は世界選手権(9月、ブダペスト)代表選考会を兼ねて行われており、2人は代表入りを確実とした。

 吉田は前身の全日本女子選手権を含めて11度目の優勝となったが、決勝では村田夏南子に追い込まれヒヤヒヤの勝利。
 第2ピリオド残り約20秒まで村田が5−4でリード。このままだと2001年の山本聖子以来、12年ぶりの日本人相手の敗戦を喫するところだった。

 しかし勝負を決めたのは、精彩を欠いていたタックル。ここ一番の集中力で、警戒する11歳下の19歳、村田の堅いガードをかいくぐって右脚を襲う。マットに体を押さえ、そのまま背後を奪って2点をもぎ取った。土壇場での逆転劇だった。
 吉田は昨年の世界選手権以降、2020年夏季五輪の東京招致活動や、20年五輪で除外危機に見舞われる競技のために奔走。今大会へ向けた練習再開は約2週間前から。それでも調整不足とは認めず、前人未到の11連覇がかかる世界選手権も「負けて選ばれるのは嫌」と優勝できなければあきらめる覚悟だったという。

 そろそろ競技に専念させてあげたいところなのだが…。